この物語はフィクションであり、登場する人物・地名・団体名はすべて架空のものです。
 バイクの運転は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。



「ねこー、ねこー」
「ま、待て名雪っ!」
「ねこー、ねこー」

「お前の病気は、礫死体でもお構いなしかいっ!?」



美汐のスクーター日記
『猫踏んじゃったッ!?』



「……と言うわけで、名雪を遠ざけながら、猫の死体を埋めてやるのは大変だったぞ」
「あぅー、疲れたー」

 はぁ……

「だってねこさんなんだよっ!」
「理由になってないっ!」
「まぁ、相沢さん、善行をしたと思って良しとしませんか?」
「そりゃまぁ、そうだが……」
「相沢さんだって、スクーターに乗っていて、路上に猫の死体が現れたら嫌でしょう?」

 特に前車との車間を十分とっていなくて、いきなり現れたりなどしたら。
 先行車両が急に蛇行したりする場合、障害物を避けていることがありますので注意が必要です。

「天野は……」
「流石に踏んだことはありませんよ。ああいうのは車が大半じゃないですか?」
「俺は自転車ならあるなぁ」
「祐一!?」
「ぐぁっ!?」

 いきなり名雪さんに襟首を掴まれる相沢さん。

「ねこさんにそんなことするなんて、極悪だよ。人じゃないよ」
「って、ちょっと待て、轢いたんじゃなくて、猫の方からぶつかってきたんだ」
「同じだよー」
「落ち着けって、猫だって無事だったんだから」
「えっ?」

 名雪さんの手を引き離して、

「自転車に猫が横から突っ込んできたんだよ。びっくりしたことに、スポークの間をくぐり抜けて反対側に抜けて行ってな」

 ……それは凄いですね。


「お母さんに聞いたんだけど、この辺だと、夜、たぬきさんを轢いちゃうことが多いんだって」
「そうなのか?」

 そう言えば、そんな話も聞きますね。

「はい、夜間、走行して動物をはねてしまったら、引き返して確かめると上手くすればタヌキ汁が食べられるとか」
「おでん種にもなるんだよ」
「……それでか?」
「あぅ?」

 何故か脱力されている相沢さんですが、何かあったのでしょうか?


「春先だと、蛇だよなぁ……」
「アスファルトの上で日向ぼっこして、というやつですね」

 春先は道路にひも状のものが落ちていたら、気を付けなければなりません。
 真剣に。

「お亡くなりになっているものと思い脇をすり抜けようとしたら、いきなり鎌首をもたげて、ということもありましたね」

 いきなりシャーッ、って威嚇されて。
 驚いて思わず足を上げてブーツの靴底でブロックしてしまいましたが。

「俺なんか、鳶に爆撃食らった時があるぞ。蛇をくわえて飛んでいたと思ってたら、いきなりポロって落とされて……」
「あぅー」
「それは嫌だよ」

 恐ろしすぎですね……



To be continued



■ライナーノーツ

 安全のためスクーターでもライディングシューズを履いておくに越したことはありません。

 本編のように蛇をブロックしなければならないというのはレアケースでしょうけどね。

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