この物語はフィクションであり、登場する人物・地名・団体名はすべて架空のものです。
 バイクの運転は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。



「俺はカレーうどんだな」
「真琴はカレーライス!」
「じゃあ、ボクも……」
「うどん屋に来てカレーライスか?」
「うぐぅ……」
「いいじゃないですか。カレーうどんは気をつけないと汁が飛びますし」
「お子さま組には丁度いい、か?」
「そう言うわけでは……」

 ツーリング先で立ち寄ったのは、地元の方の間ではちょっと有名なうどん屋さん。
 お勧めというカレーうどんと、そのルーを使ったカレーライスをそれぞれ頼んだのですが。

「あぅ、あんまり辛くない」
「うむ、しかし旨みがあるな。……うわ、ジャガイモかと思ったら、でっかいニンニクだぞ、これ」
「ホクホクですね。他の具にも十分味が染みていますし、辛くないから栞さんでも……」
「いや、無理だろ。栞はバーモントカレーの甘口でもダメだから」
「それは……」

 バーモントカレーの甘口と言ったら、カレーの王子様と辛さは一緒のはずですよ、栞さん……



美汐のスクーター日記
『買い物談義』



「ああ、そう言えば天野、この辺でホームセンターとか知らないか?」

 相沢さんからの問いかけに、私は口にしていたうどんを飲み込んでから、答えます。
 タイミング的に外してしまいますが、口に物を入れたまましゃべるわけにも行きませんし。

「確か、この先に1件あったと思いましたけど。どうかしたんですか?」
「いや、オイルランプがつき始めてな。最悪、スタンドで入れてもいいんだけど、スタンドの安オイルはなるべくなら避けたいから」

 2ストエンジンは、燃料にオイルを混合して潤滑を行います。
 このため、エンジンオイルは消費されますので、少なくなったら補給する必要があります。

「そうですね…… オイルランプが点灯しても、30キロは走れるはずですから、ここからなら十分間に合うと思いますよ」
「そうか」
「本当は、出かける前に余裕をもって補給した方がよろしいと思うのですが」

 ちなみに私は、走行距離で管理しています。
 YAMAHAのバイオ、1リットル缶1本で大体1300キロほど保ちますね。

「ま、まぁ、原付スクーターだと、地方に行っても自転車屋が扱っていたりするし」
「そういうお店は、休日はやっていない所がほとんどですよ」
「……やっぱホームセンターが便利だな」

 この人は……


「うぐぅ、でもホームセンターって安いよね」
「そうだな。オイルなんて純正品でもバイクショップや用品店に比べて5割は安いからな」

 バイクショップや用品店が高すぎるというお話もありますが。
 まぁ、量が売れないので、どうしても割高になるのでしょうね。

「ホームセンターで手に入る品はそちらで、というのがよろしいですね。そうでない専門品は、バイクショップなどに頼るしかないのですが」
「うん、でも、バイク屋さんって入りづらくない? 店員さんに話しかけられたり……」

 確かに、あゆさんのように慣れない人には敷居が高いかも知れませんね。

「まぁ大型のお店だと、それほどでもないと思いますが……」

 放っておいて欲しい場合は「ちょっと下見に」ぐらい言っておけば、適度に対応してくれると思いますし。

「真琴なんか、俺や天野の後ろにかじりついて離れなくなるしな」
「何よう、分からないんだから仕方ないでしょ!」

 相沢さんに食ってかかる真琴。
 食事中なのですから、あまり暴れないで下さい。

「そ、それに筋肉ムキムキで、トゲトゲな服を着た悪者が居るかもしれないし。捕まったらきっとロープで縛られてバイクに引きずられるのよぅ!」
「うぐぅ!?」

 ……暴走族?
 最近は珍走団と呼ぶのだそうですが。

「そんな世紀末覇王伝説な悪役、その辺に居るわけないぞ」

 また漫画の影響ですか……
 哀で空が落ちてくるって何ですか?



To be continued



■ライナーノーツ

 冒頭のカレーの美味しいうどん屋は、岐阜県の世界一大きな焼物の狛犬のすぐ近く「がりゅううどん いむなや」がモデルです。
 よく食べに行きましたっけ。

 バイク用品の購入、連載時はホームセンターが安いと思っていましたが、今ならネットの利用もいいかも知れません。

 2スト用エンジンオイルもだいぶマイナーな存在になってきましたからね。

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