ミドルモビルスーツ ドラケンE改+可翔式 設定(随時更新)


ドラケンE改
ドラケンE改フロントビュー

頭頂高:4.921m
空虚重量:8.25t
運用重量:11.40t
固定武装:短距離ミサイル×2、単発40ミリグレネード×0〜5
右腕ハードポイント利用の選択武装:甲壱型腕ビームサーベル、60ミリバルカンポッド、他に航空機、ヘリコプター搭載用ミサイル、ロケット弾ポッド、ガンポッド、偵察ポッド、またジオン規格の給電システムを備えたパイロンを用意することでヒートホークの装備が可能となっている。

 コロニーの建設を請け負うヤシマ重工が民生品の作業用機器であったドラケンEをベースに開発した改修機。
 自走で高速移動ができるよう脚部にインホイール・モーターとランフラット・タイヤを組み込んだローラーダッシュ機構を備える。
 背面にはスペースポッドSP−W03の技術から発展させた可動ノズルによる推力偏向制御ロケットエンジンを装備。
 機体に合わせチューニングされたAMBAC(active mass balance auto control。能動的質量移動による自動姿勢制御)と合わせ、原型機であるドラケンEと違って宇宙用装備への換装やアンビリカルケーブル無しでの宇宙空間活動を可能としている。
 またこのロケットエンジンは重力環境下でもローラーダッシュの加速、スピードアップ、進路変更に使えるほか、リミッターを解除することで短時間のジャンプが可能となっている。
 特筆すべきはジャンプの加速力で最大9G、3秒以下で最大戦速に突入し、短時間で飛翔を終えるそれは撃墜がほぼ不可能。
 ゲーム的な言い方をすれば『飛行中無敵』であり、さらに地上の敵戦闘車両の薄い上面装甲を上空からのトップアタックで一方的に蹂躙、撃破することが可能である。
 基本的には現地点から着地点までの直線的な弾道軌道しか取れず、空中での進路変更は困難。
 推進剤を大量消費するため何度も使うことはできず滞空時間もほんのわずかという制約があり使いどころが難しいものの、強化歩兵として地形を利用しながら敵に接近し、必要な時にジャンプで空中から地上を一方的に掃射できるという、従来兵器には無い機能がこの機体の強みとなっている。

機体構成
頭部
 無い。
 しかしコクピットを収めたボンネット状の胴体部が顔のようにも見える、胴体に頭がめり込んでいるようにも感じられるデザインになっている。
 これはジャンプによる大気圏飛行時、とてつもない加速で頭から飛んでいくため、そこに可動式の首などを付けていたら一瞬にして折れてしまうためである。
 カエルの目玉のように配置された前照灯もレンズ面を保護するシャッター付きを採用。
 その取り付けステーも原型機ドラケンEでは折り曲げた棒材を本体に溶接しただけの簡易なものだったのが、強度を上げると同時に突起物である前照灯の後方に発生する空気の渦を抑制する整流効果を持ったフィン状のものに変更されている。

5連式多目的カメラモジュール
 頭の代わりというわけではないが、機体前頂部に固定設置されている保護ボックスに内蔵されるカメラモジュール群のこと。
 ジオンの高性能強行偵察型モビルスーツMS−06E−3ザクフリッパーの頭部に装備されている3連式多目的カメラモジュールと同様の仕組みで、ナイトスコープ、赤外線、超長距離望遠、大光量補正(フレア・コンペンセイション)カメラ、レーザーセンサー、超音波センサー、更にはショットガンマイクなど複数の異なるカメラセンサーを目的に合わせて選択装備し束ねたもの
 これらから得られたデータをコンピュータで統合、幾通りのモードの中から最適な画像とデータを搭乗者に提供する。
 ただし内蔵されるカメラセンサーはオプション扱い(高性能のものは当然高価)で、荷役作業に使われている最低グレードの機体では何も搭載されず空のモジュールボックスが付いているだけだったりする。
 実際に初期に対MS特技兵部隊に配備されたものには指揮官機にすら望遠センサーが装備されておらず、戦場においてコクピットハッチを跳ね上げ、双眼鏡で遠方監視する分隊指揮官の姿が確認されている。
 一方で実験部隊や特殊部隊、偵察部隊等の機体には任務や用途に応じて選択された最高グレードのセンサー類がキャパシティいっぱいの5基まで搭載されており、通常のモビルスーツ以上の索敵能力を発揮したという。

標準センサーカメラと表示装置
 機体各所にセンサーカメラが設置されており、それらを統合してCG補正された映像をパイロットが身に着けたHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)に表示させる。
 パイロットの首の動きに連動して頭を向けた方向の映像を上下左右360度全方向について映し出すようになっている。
 これは旧21世紀の気圏戦闘機の時代、F−35で既に実現化していた枯れた技術ではある。
 狭いドラケンEのコクピット内で後の全天周囲モニターと同等の機能を実現させると同時に、大画面モニターを機体に付けずに済むというコスト上のメリットがある。
 HMDは通常バイザー型(不使用時は跳ね上げることのできる)を搭載したノーマルスーツヘルメットを使うが、非常時にはゴーグル型でも民生品の簡易型でも何でも接続表示が可能。
 なお原型機のドラケンE同様コクピットには防弾ガラスが組み込まれたスリット状の覗き穴があり、非常時は有視界戦闘が可能。
 戦車等の展視溝と同様、頭をぶつけないよう額当て(フェイスガード・クッション)が付属しており個人の体格、好み合わせて前後に調整できる。
 この調整機構はドラケンEではねじ止め式だったが、ドラケンE改ではワンタッチで調整できるボタン式に改められている。

操縦竿
 左右のレール上を前後に動く2本の多軸ジョイスティック。
 狭いコクピットで乗降の邪魔にならないよう必要のない時は後方に待機しており、機体制御OSの起動により自動的に操作可能位置までスライドしてくる。
 これとフットペダル、音声認識コマンドによりドラケンE改は操作される。

メカニカル・シート・アブソーバー
 ドラケンE、そしてドラケンE改に組み込まれているパイロット保護のための機械式緩衝装置。
 パイロットシートを斜め下後方から突き出した大型の機械式ダンパーで宙吊りに固定することで機体からパイロットへ伝わる衝撃を和らげる働きがある。
 後にリニアシートに使われたパイロットへの衝撃を吸収する機構、マグネティック・アブソーバーの簡易版のようなもの。
 元々はドラケンEの歩行における振動が酷く、それを緩和するため採用されていた機構だった。
 その後、機体制御OSの改良による揺れの抑制、ドラケンE改へのローラーダッシュ機構の採用による歩行頻度の減少で必要性は下がったが、背面ロケットエンジンの採用で加速時のG軽減機能として利用できることが分かった。
 フレキシブルに多方向のGに対応できるマグネティック・アブソーバーと違い、取り付け方向にしか働かないという制限があるメカニカル・シート・アブソーバーだが、ドラケンE改の背面ロケットエンジンによる加速、特に重力環境下におけるリミッター解除ジャンプ時にはうまい具合に方向が合って機能してくれる。
 これと耐Gスーツ機能を持ったパイロットスーツ(ノーマルスーツ)の併用、そしてパイロットの訓練によりドラケンE改は最大9Gもの加速度でジャンプを行うことが可能となっている。

セイフティバー
 ドラケンE改は6点式ハーネス(シートベルト)の付いたバケットシートによりパイロットを保持しているが、さらにジェットコースターに使われているようなバー式の安全装置を下すようになっている。
 原型機のドラケンEにも装備されていたがこちらは出来が良くなく胸や腹に食い込むため、パイロットの中には古タオルを巻きつけてクッションとしていた者も居たほど。
 ドラケンE改に採用されているものは人間工学に基づき改良されたものでクッション性、安全性が飛躍的に高められている。
 オプションでいくつかのグレードが用意されているが、標準品でもオフロードバイク用のブレストガードを装備しているのと同等以上のプロテクション性能を持っていて、肋骨や鎖骨などを骨折から守ってくれる。
 最高グレードでは更に首を保護するネックブレース機能等も有するが、パイロットの体格に合わせて調整が必要なため専用機にしか使用されない。
 なおセイフティバーはフェイス(コクピットハッチ)を閉めた状態でも上げることが可能。

機体制御コンピュータ
 俗にテム・レイの回路と呼ばれる初期の教育型コンピューター、アムロ・レイがSUN社製のペットロボット、ハロに組み込んでいたものと同型を採用している。
・街工場や個人レベルで作ることのできるローテクでありながら、人工無能に近いとはいえ一応AIを動かすことができる程度のスペック。
・ローテクだからこそ備えている蹴飛ばされようとも問題ない耐衝撃性などの耐環境性。
・安い。
・入出力のI/Oインターフェイスが光統合回路リンクで構成されており、ミノフスキー粒子散布下の環境でもノイズの干渉を受けない。
 という点で優秀。
 足りないスペックは回路を2つ搭載し並列に動作させるデュアルプロセッサとして働かせることで補っている。
 これは性能向上だけでなく一方が故障などで停止してももう一方で処理を継続できるなど、信頼性向上の効果があっての採用である。
 発想の元は冷戦時に規制により西側の優秀なCPUを入手できなかったソビエト連邦が巡航ミサイルに旧式な8ビットCPU、Z80(もしくは互換品)を使っていたというエピソード。
 そして高度な信頼性が必要とされる設備でZ80系のデュアルプロセッサ構成の制御用コンピュータが利用されていたことに由来する。
 実際、高い信頼性を必要とする兵器に使用される技術は極力トラブルを避けるためある程度開発されて時間の経過したものが選ばれるのが常識で、RX−78ガンダムのようなあらゆる最先端技術を投入したような機体は異端であると言って良かった。

脊髄反射アルゴリズム
 センサーへの入力、特に脅威に対し、パイロットおよびサポートAIへ信号を伝達するのと並行して、その判断や制御を待たず、考えるより先にショートカットして回避行動等への準備、初動などを行う先行入力プログラム。
 ソフトウェアの力で体感的にも実質的にも反応速度を上げるというプログラムである。
 人間の脊髄反射を参考に人間工学に即した動作を基本としているため「機体が勝手に動いた」などというような違和感を極力排除しているのが特徴。
 四肢の駆動のみならず推力偏向制御ロケットエンジンのコントロールに対しても行われており、スロットル操作による推進剤投入量増から実際に出力が上がるまでの0.5秒から0.8秒の遅延(これはフルサイズの、核動力のモビルスーツでも変わらない)、および慣性の法則により機体が動き出すまでにかかる時間、これらのタイムラグを実質ゼロにする効果を発揮する。
 なお学習能力とカスタマイズ性も持ち合わせており、条件反射的な反応、動作を学習したり組み込んだりすることも可能。
(人間の場合、無意識で働くという意味では学習した条件反射も脊髄反射も同じように感じられるが、実際には条件反射には脊髄ではなく脳の働きが関わっている)

MIRAI・歩行アルゴリズム
 ドラケンE改用に開発された歩行制御プログラム。
 機体制御OSに組み込むことで二足歩行、走行時の振動を劇的に減らすことが可能となった。
 元々人型マシンの二足歩行における上下振動は激しく、標準のモビルスーツサイズになると走行に人間が耐えられないのではないかと危惧されていた。
 その1/3以下の全高であるミドルモビルスーツでもやはり振動は酷く、ドラケンE改の原型機ドラケンEでも問題となっていた。
 発案者は大きな胸を持つ女性がクーパーじん帯を傷つけないよう胸を揺らさずにランニングをしている様から発想を得て、その動きをサンプリング。
 メカニカルアーム、機械義肢の権威であるディック・ルムンバ氏にこのデータを持ち込んで形にしてもらった、という嘘か本当か分からないような逸話が伝わっているが真偽は不明。
『MIRAI』という名称が何を意味するのかもまた明らかにはなっておらず、様々な説が流布している。
 またこの歩行アルゴリズムは後にジオンや連邦軍のモビルスーツに流用されたという説もあるが、こちらも正確なところは分かっていない。
 少なくともディック・ルムンバ氏が何らかの形で連邦軍のモビルスーツ開発に関係した、というのは事実らしいが。

ミッションディスクと機体メンテナンス支援プログラム
 ミッションディスクはパイロットごとに与えられる連邦軍規格に準拠した大容量光ストレージで機体制御OSとカスタマイズ設定、また稼働記録が保存される。
 これによりパイロットは機体を乗り換えても自分向けにカスタマイズされた設定をそのまま継続して利用することができる。
 また一定動作を音声コマンドで自動実行するプログラムなど、パソコン端末を使って個人に合わせた動作プログラムの設定、機体オプションに合わせたドライバソフトのインストールなどチューニングを行うこともできる。

 そしてヤシマ重工はドラケンE改の機体メンテナンス支援プログラムをクラウドサービスとして無料で提供している。
(軍など「一般のネットワークがダウンしても機能を維持する必要がある」「データを外部に置くなどセキュリティ上許容できない」という顧客、「クラウドではできない独自の業務要件があり特別にカスタマイズしたい」などといった特殊な(ガラパゴス志向の強い日本企業のような)顧客向けには管理サーバのレンタルおよび販売を行っており、各顧客が自己のネットワーク上(通常DMZ)に独自に管理サーバを立てることになる)
 ユーザーはネットに接続した端末にミッションディスクを読み込ませる、またはドラケンE改を直接ネットワークにつなげることによって、管理サーバにデータのバックアップを取ることができる。
 こうして集約された稼働記録によって機体制御OSはアップグレードされ、アップデートパッチの配布が行われる。
 さらに管理サーバではこうして収集した稼働記録をもとに機体各部の部品の余寿命の予測管理、交換の推奨、交換部品の在庫管理、部品購入発注、メンテナンスサービスの斡旋等、様々なサービスを提供する。
 これは現代で言うところの工業分野でのIoT(Internet of Things)技術活用で、GEなどが提供しているプラントの機器や航空機のエンジンにセンサーを取り付けてネット経由で集約、遠隔管理するものを発展させたサービス。
(身近なものだと企業などで使われるプリンターやコピー機などは既にIoT化されていてトラブルを検知、それに応じてメンテナンス員を派遣するなどといった保守サービスが提供されている)

 ドラケンE改はオープンアーキテクチャになっており、機体の互換部品の製造は元より整備、メンテナンス業も連邦政府の認定を受けた業者なら誰でも参入が可能。
 そしてこれらサードパーティはヤシマ重工に登録することで機体メンテナンス支援プログラムに広告を表示させることができる。
 具体的にはヤシマ重工は機体メンテナンス支援プログラムにより各顧客のメンテナンスサービスの利用履歴や部品の購入時期、購入先、単価などを把握できており、顧客が必要になったタイミングで最適なメンテナンス業者、部品供給メーカーを候補として提示するようになっている。
 従来の購入価格より安価で提示できれば顧客は高い確率で契約、購入してくれる。
 ヤシマ重工はその成約金額の数パーセントを手数料として得ることになっている。
 ヤシマ重工は無料で機体メンテナンス支援プログラムを提供しているが、そのビジネスモデルの実態は法人購入代行システムとなっている。
 単に機体本体という製品を売るだけではなく、製品とサービスを一体化させたサービス製造業としてヤシマ重工はドラケンE改を提供しているわけである。

生命維持装置等
 コクピットは一応の気密はあるが絶対ではなく酸素供給等、生命維持はパイロットが着込んだノーマルスーツ頼りになっている。
 動力源である燃料電池の排熱を直接コクピットに引き込んだヒーター程度なら標準装備されているが、クーラーはオプション扱い。
 自動消火装置は搭載されておらず、安全基準を満たすためのハンディタイプの消火器(粉末系は使用後の始末が厄介なため二酸化炭素消火器を搭載。使用には窒息に注意が必要)が申し訳程度にコクピットに備え付けられているだけである。

非常用脱出装置
 戦闘機における射出座席のような装置は搭載されていない。
 代わりに爆発ボルトによるコクピットハッチの強制排除装置だけはある。
 コクピット右側面にある「EMERGENCY FACE OPEN HANDLE」とマーキングされた誤操作防止カバーを開け、緊急脱出用レバーを引くことで作動する。
 ロックが壊れていたりハッチが歪んでいたりしても強制的に開けることができるが、周辺に人が居る場合はケガをする可能性があるので注意が必要。
 軍用オプションとして熱煙幕(通常視野だけでなく赤外線センサーも阻害する)が仕込まれた爆発ボルトも用意されており、戦場において爆発を偽装、煙幕に紛れ脱出を図ることができる。
 半面、救助活動の妨げになるため一般向けには販売されていない。
 軍でも優勢な戦場に展開する部隊では味方の迅速な救助活動を優先するために使用を禁止されているのが一般的。
 また偵察任務など、隠密行動が必要な部隊の機体でも利用は控えられている。

背面ロケットエンジン
 スペースポッドSP−W03の技術から発展させた可動ノズルによる推力偏向制御ロケットエンジンを装備。
 本体胴部と一体となっているように見えるが、実際には亀の甲羅(タートルシェル)と呼ばれる別ユニットになっていて、背面装甲と一緒に丸ごと簡単に外すことができる。
 これは整備性を上げると同時に、ロケットエンジン不具合時に強制排除することで爆発に巻き込まれることを回避するためのもの。

腕部
 胴部にマニピュレータ接続用ターレットが用意されており目的に応じて肩から先を丸ごと、素早い交換が可能。
 動作機構がむき出しの作業機械に安全用の保護カバーを付けたものであるドラケンEを基にしたこの機体は、後のムーバブル・フレームと同様の機体構造を持つのだが、さらにその一部を運用に合わせ換装可能としている点では、Sガンダムの着脱式ムーバブル・フレーム構造を先駆けて実現しているとも言える。
 ドラケンEのものとほぼ同じ精密作業を担当する3本指ハンドと肘から先が二つに割れて大きな荷物をつかめる機能を兼ね備えた二重下腕肢がデフォルトの仕様。
 荷役仕様としてパワーローダータイプもある。
 原型機ドラケンEとの違いは両肩のカバー前後に開けられていた肉抜き穴が無くなっていること。
 これは軽量化と内部機構(特に肩部放熱器)の冷却能力向上のためのものだったが、実際にはほとんど効果が無く単にデザイン上のアクセントとしてしか機能していなかったもの。
 ドラケンE改は大気圏内におけるロケットエンジンを使用したジャンプ時、頭頂部からとてつもない加速で飛んでいくわけだが、その場合両肩にも過大な風圧がのしかかる。
 その肩装甲に肉抜き穴が開いていては乱流を発生させ、振動等不具合が生じるとして廃止された経緯にある。
 副次的に防御力の向上、生産工程の省略によるコストダウンという効果が得られている。
 なおドラケンEとの違いはそれだけなので修理部品の流用はもちろん、簡易的にドラケンEのマニピュレータそのものを使用することも可能である。
 軍用モデルには高い荷重に耐える頑強なパワーローダータイプの肘から下をハードポイントにしたタイプが用意され、甲壱型腕ビームサーベル(ビームジャベリン、ヒートクロー、輻射波動機構等を搭載)、60ミリバルカンポッド、他に航空機、ヘリコプター搭載用ミサイル、ロケット弾ポッド、ガンポッド、偵察ポッド、またジオン規格の給電システムを備えたパイロンを用意できれば鹵獲品のヒートホーク等の装備が可能となっている。

装甲
 一般モデルは超硬スチール合金製で、これでも歩兵が持つ小火器や手りゅう弾、グレネード弾、さらに榴弾の破片、ジオン軍の地上用モビルスーツ装備のSマイン(空中炸裂型対人地雷)程度は防ぐごとができる。
 ただし火炎瓶や火炎放射器の攻撃は防げたとしてもスチールベースの装甲では鋼が焼きなまされ劣化してしまうため後で交換が必要となってしまう。
 高グレードの軍用モデルになるとチタン・セラミック複合材の装甲が用いられ、こちらは対戦車ミサイルやロケット弾にもある程度までは耐えることができる。
 またムーバブル・フレームと同様の機体構造を持っている本機では装甲が独立しているためメンテナンスハッチなど脆弱部を設けなくともよく(メンテナンス時は装甲を丸ごと外せばいい)、装甲材を可能な限り一体で形成することで強度を高めている。
 そのためスペックから単純に想像される以上の防御力、生存性を備えることとなっていた。

ステルス塗装
 ドラケンE改にはステルス塗料が使われており、ある程度のステルス能力を持っている。
 コストダウンのため民生品が採用されているが、これは航空機や船舶の航法レーダーへの悪影響を避ける目的で橋脚などに塗られているもの。
 さび止め塗装を兼ねているため赤い。
 元々はコロニー港湾部での作業時に管制の障害にならないよう採用されたものだが、軍事的にも有効なため軍用モデルでもそのまま利用されている。
 連邦軍では当初この赤い色が問題になったが、
・劣勢な戦場では敵、特に航空機からの発見を避けるため地上戦力は夜間行動が基本となるが、濃い赤は夜の闇に溶け込みやすく夜間迷彩として優秀(黒や青系は夜間や宇宙空間などの低光量環境下では逆に目立つ)。
・優勢な戦場では制空権が味方にあり、敵を発見しやすい昼の行軍が基本となるが、この場合は誤射(フレンドリーファイア)を防ぐためにある程度目立つ色彩にした方が良い。
 ということ、何より低コストでステルス機体を運用できる利点があってこの塗装を使い続けている。

耐熱コーティング
 一部の機体にはドライヤーやアイロンで加熱すると膨らんで立体的になるクラフトペンのように、高熱にさらされると『あわ状』になる耐熱塗装が施されている。
 生成されたあわによる空気の層でヒート武器やビーム兵器の熱をカット、表面が燃えても何層にもなっている塗料が次から次へと内側からアワを生成していくため、ある程度までは耐えられるというもの。
 ただしビームライフルなど戦艦の主砲クラスのメガ粒子砲の直撃には耐えることはできないし、ビームサーベルやヒート武器もまともに受けず、受け流すようにしないと一瞬耐えたのちに両断されるということになる。
 また層状に塗られていることにより電波を吸収、減衰させる効果も持っており、ステルス塗装としても機能する。

動力源
 燃料電池を動力源とする。
 燃料電池は核融合や内燃機関に比べ排熱が少ないのが利点。
 核融合炉搭載の標準サイズモビルスーツと違い、宇宙での運用でも冷却ベッドを必要としないため搭載艦を選ばない。
 またその少ない排熱も熱回収器(原型機であるドラケンEにおける背面放熱器の代わりに内蔵されているもの)を介して推進剤の加熱に使われている。
 それでも利用しきれない余剰熱は両肩、尻に搭載された放熱器から放出される。
 宇宙空間では輻射による熱放出しかできないが、放熱器をこのように分散配置しておけば必ずどれかが太陽光に対して影になり、効果的に排熱ができるという設計になっている。
 一方、大気中ではすべての放熱器に分散して熱を放出することでファンによる強制冷却無しで十分に放熱が可能。
 ファンレスであるための静粛性、および元々少ない排熱を放熱器を分散配置して処理するため熱探知に引っかからないということからステルス性が高くなっている。
 また宇宙空間ではデッドウェイトにしかならない空冷ファンを搭載しないことは機体の軽量化にもつながるし、部品点数の削減によるコスト削減、信頼性、整備性の向上にも寄与していた。
 燃料電池から排出される水はタンクにためられており、生活用水、飲料水(ただし非常に不味いことで有名)として利用もできるほか、過熱時に放熱器に噴霧して温度を下げることができる。
 さらにこれら放熱器は排熱を利用し、水を推進剤とするコールドスラスターとしても利用できるようになっている。
(RXシリーズの胸部排熱ダクトでも液体の蓄熱媒体を気化放出させ姿勢制御、制動に利用している。またガンキャノンの場合、胸部左右側面に気化した蓄熱媒体の逃し弁を設置しており、これもまた姿勢制御用のコールドスラスターとして利用されている)
 特に両肩の放熱器は背面ロケットエンジンに対し遠部位にあることから姿勢制御に極めて効果的。
 1年戦争終盤以降、フルサイズのモビルスーツでも肩先端に姿勢制御用スラスターを配置することが機動に有利であることが分かり、以後搭載されることになったがそれの先駆けとも言える存在であった。
 なお、尻の放熱器についてはロケットエンジントラブル時に最後に残される推進手段という役目を担うものである。
 さらに軍用機においては放熱器のアクティブ・ステルス制御機能がソフトウェアで実現されている。
 これは放熱器を自動制御し敵の検知にかからない方向のみ放射する方式で、両肩、尻に放熱器が分散配置されているドラケンE改において効果的に作用するものである。

駆動方式
 原型機であるドラケンEに採用されていたジオンの流体パルス・システムに近い…… というより小型機体に合わせ特化した油圧シリンダー駆動方式、これをさらに改良したものを搭載している。
 ジオンは当初、モビルスーツを作業機械、モビルワーカーと偽って開発していたことから、カモフラージュのために差し支えない範囲で公表された技術を参考に原型機であるドラケンEは作られていた。
(ドラケンE自体、モビルスーツを作業機械とする偽装工作のためにジオンから技術提供を受けて作られたという説もあり)
 流体パルス駆動は駆動用のアクチュエーターがダンパーを兼ねるため、衝撃吸収用に油圧ダンパーを別途用意しなくてはいけない(後にマグネットコーティング技術が一般化すると不要とされたが)連邦軍のフィールドモーター駆動と比べシンプルで小型機の駆動に向いているほか、アッガイのようなステルス機が成立したように静粛性ではアドバンテージがある。
 そのため流体パルス・システムに類似した改良型油圧シリンダー駆動方式を採用したドラケンE改では動力源が燃料電池と静かなこともあって、軍用や法執行機関向けにアクチュエーターやローラーダッシュを制御するVVVFインバータ等に無音化処理が施したモデルでは他者に気付かれないよう忍び寄る(スニーキング)ことも可能。

 後にジオン軍のモビルスーツ、YMS-15ギャンに採用された流体パルスアクセラレーターに類似した、駆動エネルギーの余剰を蓄積し必要に応じて該当する駆動部に送出する機能を持ち、この点が原型機であるドラケンEとは大きく違うところ。
 駆動装置のコンデンサーまたはブースターとも呼べる機構(機械的にはアキュムレータと呼ぶのが一番近いが正確ではない)であり、アクチュエーターの反応速度と駆動力を向上させ、燃料電池駆動機であるにもかかわらず核融合ジェネレーター搭載のフルサイズのモビルスーツと遜色のない動作が可能(これは機体サイズが1/3以下であることも関係しているが)
 要するにハイブリッド車のようにエネルギーを貯め込める機構さえあれば、排気量の少ない小さなエンジンでも問題ないのと一緒である。
 同じ燃料電池駆動機であるスペースポッドSP-W03では不可能だったAMBAC(active mass balance auto control:能動的質量移動による自動姿勢制御)による機体制御が十分にできるのもこのためである。

ローラーダッシュ機構
 自走で高速移動ができるようかかとにインホイール・モーターとランフラット・タイヤを組み込んだローラーダッシュ機構を備える。
 試作段階では安定性、運動性を高めるため可倒式で使用時のみ機体後方に張り出させるランドスピナーと呼ばれる形式も検討されたが、原型機ドラケンEが備えていた長いつま先に補助タイヤを設置することで必要とされる安定性を確保できたため、機構が簡単で重量も軽くコストもかからない現在の形式に落ち着いた。
 回転数制御は個別分散式VVVFインバータを利用。
 タイヤを左右逆回転させることにより超信地旋回も可能。
 搭載されたVVVFインバータが独特の駆動音を響かせるのが特徴だが、これは燃料電池駆動のドラケンE改があまりに静かすぎ接近を感知できないとして安全対策として発せられるもの。
 調整次第で無音化でき、また軍と法執行機関の特殊部隊向けには最初から音を発しない仕様で納品されている。
 回生ブレーキを搭載しており、減速時はタイヤの回転を使いモーターで電力を発生させバッテリーを充電し加速時等、必要時の電力とする。
 これにより省エネによる稼働時間の延長と発熱の減少によるステルス性の向上が図られている。
 タイヤについてはランフラット・タイヤが標準で付いてくるが、ユーザーの好みで変更が可能。
 高グレードの軍用モデルになると接地圧可変タイヤと言われるタイヤ内の空気圧を調整できる機構を備えるため、空気圧を下げ接地面積を広げることで泥濘地でも比較的走行が可能となっている。
 また、雪原や砂漠ではオプション装備のスキー板を装備することで滑走することができる。
ドラケンE改ローラーダッシュ機構
 一方、宇宙空間、または空中ではローラーダッシュ機構は姿勢制御用のリアクションホイールとしても機能する。
 宇宙空間のように地面等、機体を固定するものが無い場所ではコマ、フライホイールを回転させるとその反動(正確には反作用)でフライホイールの回転に対して逆回転の力が機体に加わる。
 この効果を利用して姿勢制御を行うのがリアクションホイールである。
 スラスターを用いない姿勢制御はモビルスーツでは宇宙服を着込んだ人間の動きを模したAMBAC(active mass balance auto control。能動的質量移動による自動姿勢制御)がスタンダードであるが、一般的な宇宙機や人工衛星ではこのようにフライホイールを利用する。
 モビルアーマー『エルメス』の姿勢制御に採用されているという『ジャイロ』もやはりフライホイールを用いたコントロール・モーメント・ジャイロスコープのことと言われていた。
 ドラケンE改ではスラスターとAMBACとこのリアクションホイール、三者を組み合わせることでより高度な姿勢制御を可能としているのである。

ジェットローラーダッシュ機構
 ドラケンE改の背部ロケットエンジンをローラーダッシュの加速、スピードアップ、進路変更に使用するもの。
 機体制御OSの補助を受けてもなおコントロールは難しく、熟練者以外には使用できないよう初期設定ではロックがかかっている。
 ロケットエンジンを利用するのに『ジェット』なのは語感優先で命名者があえて付けたためである。

脚部サスペンション機能
 原型機のドラケンEでは、歩行時の衝撃が酷すぎるため巨大なダンパーをかかとに装着して誤魔化していた。
 ドラケンE改ではダンパーの代わりにローラーダッシュ機構が入れられている。
 ローラーダッシュ機構にはスイングアーム式モノショック(バイクのリアサスに用いられることが多い、タイヤを保持するスイングするアームの根元に1本のダンパーを設置しているタイプのサスペンション)が組み込まれ、またタイヤの弾力もあってある程度までは代わりとなるが、十分とは言えなかった。
 そこで登場したのがMIRAI・歩行アルゴリズムだったが、これが画期的なのは人間と同じく身体全体、特に足腰で衝撃を吸収するということ、機械的な仕組みとしては各関節にある動作用アクチュエーターをそのまま衝撃吸収用ダンパーとしても利用するということだった。
 別途ダンパーを入れる必要が無く機体の簡素化、軽量化が図れるうえ、ストロークは脚部の可動範囲いっぱいとダンパーを内蔵した場合とは比べ物にならないほど大きくなる。
 実装には旧世紀の日本の戦車74式、10式の油気圧サスペンション(ハイドロニューマチック)による姿勢変更機能、つまりサスペンションの伸縮を制御して前後左右に車体を傾けるというサスペンションと姿勢制御アクチュエーターの一体化技術が参考にされている。
(余談だがRX−75ガンタンクとその後継機にはこの油気圧サスペンション(ハイドロニューマチック)による姿勢変更機能をさらに発展させたものが実装されている)

降着ポーズ
 パイロットが乗り降りしやすいよう、両膝をついた状態をいう。
 専用の特別な機構を備えているわけではないが、脚部をサスペンションとして最大限まで沈めた時と同様、膝をつくことで機体と床面を傷つけないよう腿の前部をカバーする装甲板が動きに合わせスライドし、一体になっている膝パッド(底づきを防止し衝撃を和らげるバンプストッパーの機能を持つ)が地面と平行になって長いつま先の上に乗るようになっている。
 この内部フレームのスライドや回転軸に合わせて装甲が移動することで関節への干渉を極限まで抑え込み可動域を広げるというコンセプトは、後のムーバブル・フレームと同様のもの。
 元々ドラケンEは動作機構がむき出しの作業機械に安全用の保護カバーを付けたもの。
 後に治安維持や暴徒鎮圧、警ら用に警察組織に売り込む際この保護カバーを強化して装甲板に換えたものだ。
 その結果の産物とはいえドラケンE、そしてドラケンE改の脚部はムーバブル・フレーム方式の機構を時代を先取りして備えていたと言える。
(腕部も同様だが肩から下のマニピュレーター部分はそもそも装甲もカバーも施されていないため、外装がフレームを兼ねるジオン軍MSのモノコック方式に近い構造となっている)
 ドラケンE改がMIRAI・歩行アルゴリズムを開発、実装できたのもこのおかげである。
 なお、このように長いつま先を持つドラケンE改なので平地で降着ポーズを取るのは問題ないが、傾斜地や不整地では気を付けないと機体が横倒しになる危険性があるためマニピュレータによる補助、安全確保を行うようになっている。

武装・特殊装備
短距離ミサイル

 機体上部「NO TOUCH」とマーキングされた2つの筒状ケーシングに収められたミサイル。
 シーリングされたフタを破って発射される。
 赤外線画像(IIR)自律誘導、レーザー誘導、有線誘導等、複数の誘導方式を切り替え、併用することができ、ミノフスキー環境下でも機能する。
 歩兵が使用する対MS重誘導弾 M−101A3 リジーナより大型で威力も大きいため、通常戦闘車両はもちろん対MS戦でも威力を発揮する。
 再装填は使い捨てのケーシングごと交換することで行う。
 自機の左腕二重下腕肢マニピュレーターを使っての再装填も可能だが、分隊構成の場合、装填手にパワーローダータイプのマニピュレーターを装備した機体をあてがって行われることが多い。
ドラケンE改 短距離ミサイル

40ミリグレネードランチャー
 5連式多目的カメラモジュールの空きスロットを利用した単発のグレネードランチャー。
 高初速の40x53ミリグレネード(主に車載、または三脚に載せての固定運用向け)と、低初速の40x46ミリグレネード(歩兵携帯向け)の両方を使うことができるが有効射程、弾道が異なるため照準プログラムの設定切り替えが必要。
 高性能炸薬弾(HE)、対人・対装甲両用榴弾(HEDP)、空中炸裂弾(エアバースト)、散弾、フレシェット弾、照明弾、催涙弾、発煙弾(熱煙幕展開用とマーカー各色)、赤外線照明弾などといった多様な弾頭が利用できる。
 複数の搭載もでき、センサー類をあきらめるなら5つのスロットすべてをグレネードランチャーで埋めることも可能。
 同時発射もできるため瞬間的な火力は跳ね上がる。
 ただしこのグレネードランチャーはパイロットたちからの評判が今一つで信用されていない。
 これは試作機においてシールや緩衝装置などの対策が不十分だったころに試射を行ったところ、
「発射光(ノズルフラッシュ)でセンサーが焼き付いてモニターが真っ白に飛んだ!」
「よりによって実弾兵器を何で目ん玉ん中に装備しやがる!」
「衝撃で照準軸線も狂った!」
 という具合に一緒に搭載していた高価なセンサー類を全滅させてしまったことがあり、その話が不確かな形で伝わっているため。
 その後十分な対策が施され問題は無くなっているが、今でも、特に高性能なセンサー類を搭載している機体のパイロットには嫌う者が多い。
 そのためグレネードランチャーは高感度センサーからはできる限り離れた位置、角や下段に装備されることが多い。

甲壱型腕ビームサーベル
 右腕ハードポイント利用の選択装備。
 RX−78ガンダム用に開発されていたビームサーベルに、Iフィールド制御板を兼ねた3本のクローを取り付けたものだが、多様な機能を備える。
 別名『溶断破砕マニピュレーター』
ドラケンE改 甲壱型腕ビームサーベル
 わきの下、アームシャフトアンダーガードに予備の甲壱型腕ビームサーベルを吊ることも可能で、60ミリバルカンポッドをパージ後、自機の左腕二重下腕肢マニピュレーターを使って武装を付け替える、という使い方もできる。
ドラケンE改フル装備

ビームサーベル機能
 ビームサーベルをフルスペックで起動、維持できる電力をミドルモビルスーツが供給することはできないため、ビーム刃の長さを60%以下に制限している。
 それでも作動可能時間は短く5分以下。
 使用開始と同時に機体制御OSが活動限界までの時間をカウントしだし、限界が訪れると自動停止する。
 ビームサーベル使用中はドラケンE改本体の動力源である燃料電池がフル稼働し続ける。
 燃料電池の動作に伴い発生する熱は熱回収器(原型機体であるドラケンEにおける背面放熱器の代わりに内蔵されているもの)を介して推進剤の加熱に使われている。
 このため燃料電池全力運転による発熱は副次的効果として推進剤噴射速度上昇をもたらし、一時的に機動力が向上する。
 さらに利用しきれない余剰熱は両肩、尻に搭載された放熱器から放出される。
 この時、燃料電池から排出される水を放熱器に噴霧して温度を下げる機構が働くが、発散される水蒸気が熱量を持った残像を作り出し敵の熱源センサーを誤動作させることが知られている。
 動作時間延長のためビーム刃をさらに短くしビームダガー、ビームナイフとして使用することもできるが、対モビルスーツ戦においてただでさえリーチが不足するミドルモビルスーツでは不利になりすぎるため通常使われることはない。
ドラケンE改ビームサーベル
 なお、後に斬りつけ、目標にインパクトする瞬間以外はビーム刃を最小限に抑えエネルギーの節約ができるアイドリング・リミッター機能が付加され、動作可能時間の制限は緩和されることになる。

ビームジャベリン機能
 甲壱型腕ビームサーベルはリミッターを解除することでビームジャベリンとして使用できるようになる。
 ビームジャベリンは長い柄の先端部のみに刃を発生させることでエネルギー消費を少なくしたものである。
 ビームを一点に集中することから貫通力は高まる。
 特別な使い方としては構えたまま突貫してそのまま分離、急降下爆弾のように投擲することもある。
 バイタル部に当てればムサイクラスの巡洋艦すら墜とすことができるこの攻撃は、ドラケンE改の持つ唯一の対艦攻撃能力と言える。
 また、ビームジャベリンが発生する光球に三叉のついたビーム刃、球状に形成されるこれは割と大きく、柄の伸縮機能を使わず正面にかざせばドラケンE改の胴体コクピット部分程度は余裕でカバーできるビームバリア的な運用も可能であった。
 ただし甲壱型腕ビームサーベルも一般機向けにはビームジャベリン機能が省略されているものが多く、この機能を持ったものの供給は少数に限られている。

パルマフィオキーナ掌部ビームピック機能
 パルマフィオキーナ(palma fiocina)とはイタリア語で「掌の銛」。
 甲壱型腕ビームサーベルを密着状態で起動、敵を撃ち抜くようにして撃破するという使用法。
 水中やビーム攪乱膜などビームを減衰させる環境下でも影響を受けない、一瞬の起動のため本体電源にあまり負担をかけないといった利点がある。
 一方で密着状態でないと使えず一瞬でビームサーベル内のエネルギーCAPにチャージされたメガ粒子を使い果たしてしまうという問題があり、活用はなかなか難しい。
 元々はビームサーベルの水中での熱量の損失(周囲の水の加熱)を防ぐ為に、敵機の装甲と接触した段階でビーム刃を放出したらどうかという検討から実装された機能。
 その後アクア・ジムにも採用され、その腰部に4基装備されることになる。
 しかし敵と接触しないと機能しないためパイロットには不評を買い、続く水中型ガンダム「ガンダイバー」では単にビーム長を6〜7割に短縮したビームサーベルに置き換えられている。

輻射波動機構
 Iフィールド発生装置に組み込まれた電磁波発振器から高周波を短いサイクルで対象物に直接照射することで、膨大な熱量を発生させて爆発・膨張等を引き起こし破壊するというマイクロ波誘導加熱ハイブリッドシステム。
 クローで掴んだ敵機の装甲や武装の加熱破壊の他、電磁パルス(EMP)攻撃にもなるため攻撃対象の電子機器を焼損させて無力化することができる。
 またミサイルや銃砲弾による攻撃を受けた場合に輻射波動により発生する振動波によってその弾がまだ空中にある間にこれを無力化するアクティブ防護システム(APS:Active Protection System、アクティブ・プロテクション・システム)として機体をガードする目的にも利用される。

ADS(アクティブ・ディナイアル・システム:Active Denial System)
 旧21世紀においてアメリカ軍が開発されていた暴動鎮圧等に用いるための非殺傷の対人兵器システム(指向性エネルギー兵器)。
 ミリ波の電磁波を対象となる人間に向けて照射すると、誘電加熱により皮膚の表面温度を上昇させることが可能で、この照射を受けた者は火傷を負ったような錯覚に陥る。
 使用される周波数は電子レンジの2.45GHzよりはるかに高い95GHz。
 つまり物体に当たると非常に減衰しやすく、その影響は皮膚のごくごく表面にしか作用しないということで致命的な殺傷能力は無い。
 対象物から450メートル離れた場所からの照射でも効力が有り、人道的な兵器としての利用が期待されていた。
 ドラケンE改は甲壱型腕ビームサーベルが発生させた輻射波動をIフィールド制御板を兼ねた三本のクローを利用してADSとして照射することが可能。
 広範囲に放つ場合は『ADSバラージ』と呼ばれる。
 バラージ(barrage)は弾幕の意味。

ヒートクロー
 別名『シャイニングフィンガー』
 Iフィールドとはミノフスキー粒子に電磁波を流し結晶格子状態にした力場であり、Iフィールド発生装置には電磁波発振器が内蔵されている。
 この電磁波発振器で高周波を発生させ、Iフィールド制御板を兼ねた3本のクローをプラズマ化するまで加熱。
 それによって金属装甲を溶断するヒートクローとして作動させる。
 ジオン軍のヒートホークをはじめとするヒート兵器と原理は同じ。
 ビームサーベルよりエネルギーを必要としないため多用される。
 クローのエッジは刃になっていないが、これは耐久性を上げるためあえてそうされている。
 ただしそれでも4、5回の使用で要交換となる消耗部品である。
 そのため加熱せずに攻撃することも多く、その場合はコールドクローと呼ぶ。
 またコールドクローで敵を掴み、輻射波動機構でとどめを刺すという使い方もされる。

無限拳(パンチ)
 ビームジャベリンの伸縮機能を使ってクローを打ち込む応用技。
 音声コマンド動作で、デフォルトの発動キーは「必殺! 無限拳(パーンチ)ッ!!」。

60mmバルカンポッド
 60mmバルカン砲と給弾機構および弾薬、照準用センサーカメラを搭載したガンポッド。
ドラケンE改60ミリバルカンポッド
 右腕ハードポイント利用の選択装備の一つ。
 連邦軍モビルスーツ頭部搭載用に開発されていた兵器、TOTO(トト)カニンガム社製60mmバルカン砲ASG86-B3Sを流用したもの。
 条件次第でザクの正面装甲すら貫通しハチの巣にする威力を持つ。
 バルカン砲の駆動や電気式雷管の発火、照準用センサーカメラ等に必要な電力は機体本体より供給される。
 ジムスナイパーIIに採用される外付けバルカンポッドに類似した装備だが、こちらの方が若干大型でその分装弾数は多く取られている。
ドラケンE改60ミリバルカンポッド
 なお誤解されやすいが外部に露出している発射口は内径約200mmのノズルカバーであって砲身そのものではない。
 戦場でのパージも可能で、敵味方識別装置(identification friend or foe、略称:IFF)を応用したビーコンを搭載しているので(『iphoneを探す』機能のように)、戦闘後、状況が許せば回収もできる。

 搭載された照準用センサーカメラは捜索探知能力向上にも役立つため、偵察ポッドの代わりとしても利用されている。
 ネオ・ジオン残党「袖付き」の用いたドラッツェのガトリング・ガンは攻撃力の強化より「哨戒偵察任務用のセンサーユニット」としての能力を期待して装備されたもので、ガザシリーズのシステムを流用したというセンサーを起動すれば、センサー有効半径が大幅に拡大する。
 それと同様のものだ。
 旧20世紀の例で言うならアメリカ軍のA−10サンダーボルトII攻撃機は湾岸戦争時点では赤外線カメラを装備しておらず、AGM−65マーベリック空対地ミサイル搭載の赤外線カメラを利用して(撃たずに残して)夜間攻撃を行っていたというが、そのようなものである。

60mmバルカンポッドType-02
 通常は『60ミリバルカンポッド弐式』と呼ばれる。
 外見こそ変更は無いが、新たに弾頭形状や材質、炸薬を大幅に変更した新型バルカン砲を搭載しており、性能が向上している。
 これは従来、連邦軍モビルスーツ頭部搭載用に利用されていたTOTO(トト)カニンガム社製60mmバルカン砲ASG86-B3Sに代わるもので、これ以降に開発、生産された機体は基本的にこの規格に適合するようになっている。
 なお、ASG86-B3Sとの互換性は低いため、部隊運営においては既存の機体との混成は補給、整備の関係上好ましくないとされた。

ヒートホーク
 ジオン規格の給電システムを備えたパイロンを用意できれば鹵獲品、および連邦にてコピー生産したヒートホークの装備が可能となっている。
 HEAT HAWK Type5と呼ばれる一般的な型のもので、携帯時に邪魔にならないよう柄に伸縮する機構が内蔵されているため、これを利用して柄を縮めた状態で使用する。
 しかし熟練者なら伸ばしたうえで遠心力を利用して破壊力を上げる、突然リーチを伸ばして不意を突くなどという使い方も可能。
 ビームサーベルより省電力であるため継戦能力は高くなるが、リーチと切断能力では劣るうえ、標準サイズのモビルスーツと打ち合えば力負けして吹き飛ばされてしまうという欠点も持つ。

特殊装備
パラシュートパック
 機体背面上部に設置できるパラシュート装備。
 空挺車両の降下に使われるマッシュルームタイプとは別に、特殊部隊のHALO(高高度降下低高度開傘)やHAHO(高高度降下高高度開傘)による敵地侵入任務向けの長方形の翼のようなスクエア型(ラム・エア・キャノピー)のパラシュートが用意されている。
 これはパラシュートの両端につなげられたロープを引くことでパラグライダーのように飛行をコントロールできるもの。
 またドラケンE改のロケットエンジンの推力を利用すれば動力付きのモーターパラグライダーとして飛行が可能。
 なおコントロールには当初ドラケンE改のマニピュレータを使っていたが、両手がふさがるという問題から両肩に電動リールを設置する方式に改められた。
 自動作動装置と呼ばれる一定高度以下になった場合に傘を自動で開く安全装置と予備のパラシュートも装備には含まれる。
 パラシュートの生地とロープは視認困難な透明特殊素材で作られている。
 この素材は厳しい生存競争の中で生物が進化させてきた機能を模倣する「バイオミメティクス(生物模倣技術)」を利用したもの。
 透明な物体が目に見えるのは屈折率の異なる物質が接する境界面では光の反射が起きるため。
 しかし水生生物の中にはナノ突起と呼ばれる微小な構造で覆われている者があり、表面が毛足の長いじゅうたんのようになっていて、光の反射を弱め、和らげられることによって透明な身体を目視できないほど水に紛らわせることができる。
 空気中においてもカタカケフウチョウという鳥の羽根の光吸収率は99.95%で、その羽根にあるマイクロメートル単位の微細な形状が光を反射しない構造になっている。
 これらを参考にナノテクで人工的に再現したのがこの透明特殊素材である。
 またレーダー波などの視認以外のサーチにもステルス性を持っている。

増槽
 機体上面、二基の短距離ミサイルは増槽と交換が可能。
 推進剤が入れられるプロペラントタンクと燃料電池向けの燃料タンクがあり、通常は一基だけの装備でも十分だが、特別に長時間の行動を取りたい場合には二基とも交換することや別の種類のものを混載することもできる。
 一般に、通常の増槽は弾着による引火爆発を防ぐため、残量にかかわらず会敵時に投棄されることが多かった。
 そのため先に増槽の燃料から消費し、機内タンクの燃料を温存するようになっている。
 ドラケンE改用の増槽は、機内タンクに注入する形で接続されており、残量があるうちは常に機内タンクを満タンにするようにするようになっている。
 これはやはり、機内タンクの方が厚い装甲に守られ安全であるため。
 逆に本体に問題が発生し燃料投棄が必要になった場合には、機内タンクから増槽側へ移し替えた上でパージする機能も搭載している。
 これは過去、西暦の時代でも『デルタ航空89便緊急着陸事故』において低高度で燃料投棄を行い地上で56人が負傷するというトラブルがあったように、周囲への被害を慮って搭載されたもの(ドラケンE改は作業機ベースのため、人口密集地での使用も当然あるため取られた対策)
 このように非常時にはドロップタンクとして切り離すこともできるが、基本的には被弾等、トラブル時に強制排除することで爆発に巻き込まれることを回避するためのものであって、それ以外で廃棄することはスペースデブリを増やす行為であり推奨されていない。
 またミサイルと同じく自機の左腕二重下腕肢マニピュレーターを使っての装着もできるため、これにより戦場にて短時間で燃料、または推進剤の補給をするという使い方も可能。
 その円筒状の形状から燃料電池向けの燃料タンクはエネルギー缶(E缶)、推進剤が入れられるプロペラントタンクはプロペラント缶(P缶)と呼ばれる。
 外見上は通常のミサイル装備と区別がつかないがドラケンE改の武装同様、敵味方識別装置(identification friend or foe、略称:IFF)を応用したビーコンを搭載しており、その中に種別、および積載量のデータが含まれるのでドラケンE改が見誤るということは無い。
 パイロットが見るHMDにも、強化現実により燃料タンクなら『E』、プロペラントタンクなら『P』というようにタグが表示されるようになっている。


ドラケンE改可翔式
ドラケンE改可翔式
頭頂高:4.581m
空虚重量:10.45t
運用重量:16.029t
固定武装:空対空ミサイルAIM−79×8(内装式)、単発40ミリグレネード×0〜5
右腕ハードポイント利用の選択武装:甲壱型腕ビームサーベル(ビームジャベリン、ヒートクロー、輻射波動機構等を搭載)、60ミリバルカンポッド、他に航空機、ヘリコプター搭載用ミサイル、ロケット弾ポッド、ガンポッド、偵察ポッド、またジオン規格の給電システムを備えたパイロンを用意することでヒートホークの装備が可能となっている。
翼下パイロン利用の選択武装:AIM−77D空対空ミサイル×2などを装備可能
特殊装備:チャフ、フレアディスペンサー

 ドラケンE改から背面ロケットエンジンを取り外し、代わりに飛行ユニット兼メインジェネレータとしてRXシリーズのコア・ブロック兼脱出装置であるコア・ファイターの胴体部をそのままそっくり流用し取り付けたもの。
 これにより大気圏内での飛行が可能になったうえ、ドラケンE改の動力源としてコア・ファイターの核融合炉を利用できるようになっている。

飛行ユニット
 正式名称『コア・フライトユニット』。
 機首部分を取り外されたコア・ファイターの胴体部がドラケンE改の背面上部に可動軸を設けて接続されており、必要に応じて上下、扇状に可動する。
 待機状態では主翼と垂直尾翼が折りたたまれ、腰まで達する大型バックパックのように見える。
ドラケンE改可翔式_待機状態
 主翼、垂直尾翼を展開、斜め下方に噴射し離陸した後、地面に対して水平近くになるまで可動し飛行を続けることができる。
 Zガンダムのロングテール・バーニア・スタビライザーのように可動するベクタードノズルとして働く高出力バーニアとAMBAC(active mass balance auto control。能動的質量移動による自動姿勢制御)作動肢として働くスタビライザーの機能を併せ持つため、運動性が格段に上昇する。
 また尾部四隅には姿勢制御システム(Reaction Control System, RCS)、つまり姿勢制御用の小スラスター、前部下面には垂直上昇ノズルハッチがあり、これらもまた機体制御を補助してくれる。
 高コストな教育型コンピューターこそオミットされているが、RXシリーズのメインジェネレータであり航空/航宙用の熱核ジェット/ロケットエンジンとしても働くNC−3型核融合ジェネレータ二基は搭載されており、ドラケンE改本体にもエネルギーが供給される。
 核融合ジェネレータの搭載によりドラケンE改可翔式は全高5メートル以下のミドルモビルスーツでありながら、従来制限のあったビームサーベルのフルスペック運用が可能となっている。
 ただし同時に宇宙での運用には冷却ベッドが必要という制限が生じる。
 超硬合金ルナ・チタニウム製。

追加武装・特殊装備
 ドラケンE改の装備は廃止された短距離ミサイル2発以外は可翔式でも使用が可能なほか、コア・ファイターの武装、特殊装備が利用できる。

空対空ミサイルAIM−79×8
 コア・ファイター左右胴部に内蔵される小型ミサイルで4発づつ、合計8発を搭載する。
 コア・フライトユニットでもそのまま使うことができる。
 グフの正面装甲を破るほどの破壊力を持ち、対MS戦に十分な威力を発揮する。

空対空ミサイルAIM−77D×2
 コア・ファイター翼下パイロンに装着できるミサイルで、コア・フライトユニットでも使用が可能。
 ただし、射線の問題で主翼を折りたたんだ状態でしか発射できないため多用はされない。
 内装式のAIM−79より大型で威力もまた高い。
 コア・ファイターでの使用実績はほぼ無かった兵装だが、これはミサイル、そして翼のハードポイントに装着してミサイルを保持するためのパイロンを付けたままではモビルスーツに合体できないという問題があるため。

チャフ、フレアディスペンサー
 敵センサーを欺瞞する目的でチャフ、フレアーを射出する装備。
 コアファイター尾部下面に射出口があり、コア・フライトユニットでもそのまま使うことができる。


参考
RH−35E ドラケンE

 サイド6に駐留する”リーア軍”が使用するMMS=ミドル・モビルスーツ。
 元は民生品の作業用機器で、比較的精密な作業が可能な二重下腕肢マニピュレーターの機体がデフォルトの仕様。
 腕部をパワーローダーと換装した荷役仕様の機体などもある。
 連邦、公国を問わず、土木工事の現場や港湾作業などで運用されているほか、治安維持や暴徒鎮圧、警ら用に運用されている事も多い。
”RH−35”は、リーア35番地(リボー・コロニー)所属の意味。
プラモデル「HGUC 1/144 RGM-79SP ジム・スナイパーII」取扱説明書より引用)

SPEC
 全高 4.921m
 武装 短距離ミサイル×2/ビーム・サーベル
(「ガンダムパーフェクトファイル 122号」より引用)


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