ガンダム世界でスコープドッグを作ってたらKMF紅蓮に魔改造されてしまった件

第2話 ドラケン破壊命令 Aパート


 サイド7では接近するジオン軍巡洋艦ムサイからのミサイル攻撃に対し、ミサイル砲座による迎撃を試みていた。

「民間人でもいいんだ、男手をまわしてくれ!」

 レーダーもデータリンクも役に立たないミノフスキー環境下では、砲座の一つ一つに砲手がついて、マニュアルで操作するしかない。
 連邦軍兵士も必死にミサイルを放って抵抗を試みるが、

「おっ、ああっ、く、来るぞ」

 迎撃をするということは、その位置を敵に知らせることに等しく。
 濃密な弾幕を形成できるわけでも、本格的な軍事要塞のように厚い遮蔽物があるわけでもない状態では動かないミサイル砲座は格好の的だった。

「うわーっ!」

 ムサイのミサイルは確実に一つ一つ連邦軍の抵抗を排除していった。
 コロニーから脱出する一機のザクを援護するために。



 ミサイルの爆発による振動がコロニーに走る中、15歳の少女フラウ・ボウは子供たちを助けながらリング型リフトでホワイトベースが停泊する宇宙港へと向かおうとしていた。

「しっかりつかまって」

 そこにひときわ大きな爆発音!
 通路の向こうで爆炎が走り、凶悪な速度と質量を持った破片が飛んでくるのが見えた。

「早く!」

 リフトを出すように叫ぶフラウだったが、間に合わないことは明白だった。

「きゃあっ」

 思わず目を閉じ身体を丸くするが、そこに大きな人影が破片との間に割り込んだ。
 身の丈4メートルは超えようかという鋼の機体の正面装甲が、飛んできた破片たちをガンガンと音を立てて弾く。

「ロボット? 助けてくれたの?」

 初めて見るその姿にフラウは息をのむ。
 そして爆発が収まると紅蓮に彩られた機体がゆっくりと振り返った。
 人影、と言うにはその機体は人体のバランスからはかけ離れたプロポーションをしていた。
 独立した頭部は無く、その代わりにずんぐりとした曲面を描く胴体上部には目を思わせるスリットが走っていて、まるで胴にめりこんだ顔のようにも見える。
 脚は短くどっしりとしていて肩幅は広い。
 そして何より特徴的なのは三本のクローを備えた異形の大きな右腕だった。
ドラケンE改 正面



「やばかった……」

 フラウ・ボウたちを助けた真紅の機体、ドラケンE改のコクピットでミヤビは大きく息を吐いた。

『機体、損傷軽微。行動に問題ありません』

 サポートAIのサラがHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)に映し出された視界の片隅でそう報告してくれる。
 とっさに爆発に割り込み飛んでくる破片を受け止めたのだが、問題ないようだ。

『機体の表面はどこもかしこも傷だらけですけど』

 とサラは俗に言うorz、両手を地に着き、うなだれるポーズを取って悲しそうに言うが、

「うずくまって泣いていても始まらないから、ね」

 そう言ってミヤビはサラをなだめた。
 そして機体の右腕に装備された甲壱型腕ビームサーベルに視線を落とし、

「タフな棒よね」

 とつぶやく。
 エネルギーCAPに充てんされたメガ粒子を使い切ってただの棒、丸太と化したこれを機体正面にかざして盾にしたのだが、こちらには凹み一つ無かった。
 ミヤビの前世の記憶『機動戦士ガンダム』の劇中ではビーム無しでも柄で突くことでザクより厚いはずのグフの正面装甲をベッコリと凹ませて、それでも壊れずいたものだったから当然か。
 ミヤビは機体を振り向かせ、背後にかばっていたフラウ・ボウたちに向き直る。
 彼女たちの顔にいまだ怯えの表情が浮かんでいることに気づき、左手元のレバーを引きあげた。
 降着レバーだ。
 コクピットが沈み込む感覚がミヤビを包む。

 降着ポーズはミヤビの前世の記憶ではロボットアニメ『装甲騎兵ボトムズ』登場のスコープドッグなどのアーマードトルーパーに装備されていた機能だ。
 パイロット搭乗時やパラシュート降下の着地時などに、脚部を変形させて胴体が前方に沈み込む独特の『降着形態』を取るもの、降下着地衝撃緩衝機構と呼ばれる仕組みだった。

 ドラケンE改、またその原型機であるドラケンEではパイロットが乗り降りしやすいよう、両膝をついた状態をいう。
 専用の特別な機構を備えているわけではないが、脚部をサスペンションとして最大限まで沈めた時と同様、膝をつくことで機体と床面を傷つけないよう腿の前部をカバーする装甲板が動きに合わせスライドし、一体になっている膝パッド(底づきを防止し衝撃を和らげるバンプストッパーの機能を持つ)が地面と平行になって長いつま先の上に乗るようになっている。

 この内部フレームのスライドや回転軸に合わせて装甲が移動することで関節への干渉を極限まで抑え込み可動域を広げるというコンセプトは、将来開発されることになるムーバブル・フレーム技術と同様のものだ。
 元々ドラケンEは動作機構がむき出しの作業機械に安全用の保護カバーを付けたもの。
 後に治安維持や暴徒鎮圧、警ら用に警察組織に売り込む際この保護カバーを強化して装甲板に換えたものだ。
 その結果の産物とはいえドラケンE、そしてドラケンE改の脚部はムーバブル・フレーム方式の機構を時代を先取りして備えていたと言える。
 腕部も同様だが、肩から下のマニピュレーター部分はそもそも装甲もカバーも施されていない。
 ミヤビの機体の左腕にも装備されている二重下腕肢マニピュレーターに限っては外装がフレームを兼ねるジオン軍MSのモノコック方式に近い構造となっているが。

 なお、このように長いつま先を持つドラケンE改なので平地で降着ポーズを取るのは問題ないが、傾斜地や不整地では気を付けないと機体が横倒しになる危険性があるためマニピュレータによる補助、安全確保を行うようになっている。



 フラウ・ボウの方を振り向いた赤いミドルモビルスーツに敵意は無さそうだった。
 彼女の前でひざを折り、姿勢を低くする。
 フラウの視線の高さに近づいた胴部上面が、まるで車のボンネットのように上に開いてコクピットを露出させた。
 さらにパイロットシートに備えられたジェットコースターに付いているようなセイフティバーが跳ね上がり、シートベルトを外した人影が立ち上がる。
 すらりとした細身の身体の線を浮き立たせるパイロット用のノーマルスーツ。

「女の、ヒト?」

 視線を隠すようなゴーグル状のHMDが付いたヘルメットを外すと現れたのは、硬質な美貌。
 夜の闇を履いたようなつややかな漆黒の髪に、吸い込まれるような深さを持つ黒曜の瞳。
 とてつもない美人だが、それだけに感情的な熱を感じさせないその表情は人形のようにも見えた。

「大丈夫?」

 静かだが通りの良い、落ち着いた声がそうたずねる。

「は、はい」
「先を急いで。こんなところ、空気がすぐに無くなってしまうわ」
「はい」

 フラウの返事を聞いた女性パイロットはすぐにまたヘルメットをかぶってしまう。
 目元を覆ってしまうゴーグルに、美人なのに隠すなんてもったいないと思うと同時にフラウは気づいた。
 彼女が言うとおりいつ空気が無くなってもおかしくない状況下で、わざわざヘルメットを脱いで顔を見せることで安心をさせてくれた女性の気遣いに。
 そして自分の機体を傷だらけにしてまでかばってくれたことに。

「あ、あの、助けてくれてありがとうございました!」

 コクピットハッチが閉まる寸前、そう声をかけた。
 ヘルメットのバイザー越しに見えた美女の口元が……
 わずかに上がって笑みの形を浮かべたように見えたのは、彼女の笑顔を見てみたいと思ったフラウの錯覚だったのだろうか。
 フラウ・ボウはその後も長いこと考え続けることになる。



『ミヤビさん、今笑いましたよね』
「そう?」

 サラに言われてミヤビは首をかしげる。

『ずるいです。私にだってめったに笑いかけてもらえないのに』
「そんなはずは無い…… と思うのだけれど」

 前世で読んだ某小説の超絶美形主人公のように1冊につき1回しか笑わないとかそこまで人間止めてない、とミヤビは思う。
 実際これでも名門ヤシマ家の令嬢だ。
 出るところに出るときは分厚いネコをかぶってちゃんと笑顔で対応している。

『そういうときのミヤビさんって、よく見たら目が死んでるじゃないですか』

 漫画やアニメでいうハイライト、光が消えたいわゆるレイプ目というやつである。
 実際、男性に恋愛や性的対象に見られるたびに首を吊って死にたくなるミヤビではある。
 ともあれ、

「それが分かるのはあなたとミライだけよ」

 ミヤビは今世の妹を思い浮かべながら言う。
 世話好きの彼女は今頃ホワイトベースで人助けに奔走しているだろうか。
 コロニーに入港した時点で呼び出し、保護しているから大丈夫だとは思うが。

『私にも笑顔を見せてほしいです』

 もう一人の妹的存在であるサラからそう願われ、そこまで言うのならと作り物ではない本当の笑顔を浮かべようとしたミヤビは、

「……眠っている表情筋を呼び覚ますにはタイミングが要るわ」
『そこまで大変なことなんですか!?』

 とサラに呆れられることになった。



 ジオン軍ムサイ級巡洋艦ファルメルのメインブリッジ。
 シャア・アズナブル少佐はコロニーから撤退してきたザクのパイロットから報告を聞いていた。

「君は私とデニムの命令は守ったのだ。気にすることはない、スレンダー軍曹」
「ありがとうございます、少佐」

 敬礼を返す部下に、シャアは思案する。

「連邦軍のモビルスーツが君の言う通りの性能とは、やや信じがたいが……」

 まぁ、そうなるだろう。
 事実だけ言えば、

 空を飛び、キックでザクの頭を蹴飛ばしメインカメラを粉砕。
 ザクを上回る機動性で攻撃をすべて回避。
 放たれるミサイルはザクに確実に当たり、沈黙させる威力を持つ。
 長大なビーム剣でザクを両断。

 こんなもの、実際にやったミヤビだって、
「ドラケンE改にそんな化け物じみた力は無い! 事実だけど違う!」
 と叫ぶはずだ。

 その上さらに、ドラケンE改の活躍のインパクトが強すぎたのだろう。
 アムロの動かしたガンキャノンのことがすっぱりと報告から抜け落ち、その装甲がザクマシンガンをまったく受け付けなかったことまでが赤い機体、ドラケンE改のことと混同されて受け止められていた。
 ガンキャノンも赤かったから……

「お言葉ですが自分は確かに」

 そう言い募るスレンダーだが、こんな報告を真に受ける方がおかしいだろう。
 ともあれシャアは副長であるドレン少尉に命じる。

「レーザー通信回路を開け。ドズル中将を呼び出したい」
「はい」



「……ジオンの船は間違いなく攻撃をやめたのだな?」
「は、はい」

 ホワイトベースで手当てを受ける軍人の中にはパオロ艦長の姿まであった。
 もっともベッドに縛り付けておけば命に別状はないという程度の負傷具合だったが。

「やはりヤシマ家のご令嬢の言うとおり、ジオンでも理性ある指揮官なら積極的に民間人に犠牲を出すような戦闘は避けるか……」

 ホワイトベースに同乗していたあのヤシマ家の令嬢ミヤビとはパオロも何度か雑談の場を設けていた。
 その中に、ジオン軍でもコロニーに毒ガスを使った実行部隊は軍律を逸脱した忌避される存在とされている、という話があった。
 コロニー落としまでするジオン軍だったが、実際にはそういった良心的な考え方も残しているのだとパオロは驚いたものだった。

 中立地帯であるサイド6にも縁を持つヤシマ家独自の情報網でもあるのか、とパオロが感心するほどミヤビはジオンの内情に詳しかった。
 実際には前世知識の受け売りの部分が多分に含まれているのだが。

 ともかく、先ほどのムサイの接近、そして攻撃はコロニーの破壊を狙ってのものではなく、脱出するザクの回収および援護のためだったということだ。
 実際、その攻撃はバイタル部分を外しているし、主に抵抗しているミサイル砲座を潰しにかかっていた。
 それを察したパオロは味方にいたずらに損害を拡大させる迎撃をやめさせ、自身も下がろうとしたが時遅く。
 こうしてベッドに縛り付けられることになっていた。

 まぁ、ミヤビの知る史実では死に至る傷を負っていたため、それよりはマシ。
 ミヤビがそれとなしにジオン軍内の情報を流し、判断材料を与えていたことがパオロ艦長の命を救ったとも言える。
 一民間協力者のミヤビには、この程度のことしかできないのだ。

 ところでなぜパオロ艦長自らコロニー防衛に出て対空砲座に着いていたのか。
 コロニー内に現れたザクに対処するために派遣した人員が全滅したため人手が払底していたということもあるが、最大の原因は別にあった。
 地球連邦軍はサイド7でモビルスーツの最終チェックを行うにあたり、万が一のためのミサイル砲座でコロニーの守備を固めていた。
 そしてデータリンクに頼った最新型の兵器はミノフスキー粒子で役に立たなくなっていたため、人が砲座について手動操作により射撃する機能が簡略化される以前の旧型のものを配した。
 それ自体は妥当だったが、問題はそんな旧式装備を、しかも非常用の手動操作で動かせるような人員はパオロ艦長ぐらい軍歴の長い年長者しか居ないという問題が隠れていたのだ。
 考えてみれば当たり前のことだ。
 ソフトウェア会社に入った新入社員に、もう主流から外れ数年で消えるようなレガシーシステムにしか使われていない古い言語を学ばせるだろうか?
 自衛隊だって退役が近づいたF−4ファントム爺さんに乗っているのは年配のベテランパイロット。
 若いパイロットはF−15イーグルの方に回されていた。

 実はその辺の指摘もミヤビはしていて、旧21世紀でも工場などの現場を遠隔でサポートするために開発されていたARスマートグラスと、操作を指導するサポートAIとを用意していたのだが、軍人たちは紙のマニュアルでいいや、という保守的な選択をし。
 実際に戦闘になって対応できず、パオロ艦長たち年長の者に指導してもらわなくてはいけない状況に陥っていたのだった。

 まぁ、ミヤビにも気持ちは分かる。
 ARスマートグラスは身に着けて使うものだが、一般に普及している製品には大きな問題がある。
 それは備えているカメラのレンズが小さいため得られる画像が暗い、専門用語で言うところのF値が大きいということだ。
 オフィスなど一般的な明るい環境とは違い、工場や工事の現場、そして戦場は十分な光量が無い場合が多い。
 暗い場所に暗いレンズ。
 写真ならシャッタースピードを遅くすれば撮影できるが、頭に身に着けて使うARスマートグラスでは、動きを止めてじっとしていないとろくに画像が映らない、つまり使い物にならないということになる。
 この辺のARスマートグラスを売りつけようとする企業と現場の落差を知っている、知識のある人間ほど確実な紙のマニュアルを支持することになる。
 ミヤビが用意したのは、そういった問題点を解決したものだったのだけれど。

「艦長、ここでしたか」

 パオロに歩み寄る青年兵士ブライト・ノア。
 彼は19歳、軍歴わずか半年の士官候補生であるがために艦に残され生き残っていた。
 パオロは彼に問う。

「ジオンの船の防戦にまわった連中はほとんど壊滅だ。君の方はどうだ」
「サイド7に入った者は技師、軍人共に全滅です。たった二機のザクの為に」

 ブライトの報告を沈痛な表情で受けるパオロ。

「負傷兵の中で戦闘に耐えられるものは十名とはおりません」

 通常、軍では兵の3割が負傷すれば組織が機能しなくなり壊滅判定が下されるが、この場合はそれ以上。
 文字どおりの全滅状態だ。

「モビルスーツの関係部品の積み込みを急げ」

 パオロにはそう命じるしかない。

「は、艦長。幸いなことにパイロット一名がガンキャノンを操縦、他の機体の積み込みを急いでおります」
「パイロットは誰か?」
「確認してはおりません」

 ブライトは上官の問いに飾ることなく返答する。
 よく言えば実直、悪く言えばクソ真面目だが、それは軍隊では美徳とされる。

「その作業が終了後、ホワイトベースをサイド7から発進させろ」
「は。しかしホワイトベースのパイロットが」
「出港はコンピューターが」
「し、しかし」
「あ、あの、クルーザー級のスペースグライダーのライセンスが役に立つとは思いませんが、わたくしでよければ」

 上官に無茶振りされ、本当にそれが可能かの判断もつかずに戸惑うブライトを救ったのは、

 オッパイ……

 ではなく、

「君は?」
「ミライ・ヤシマと申します」
「……そうか、ミヤビ君の」
「妹です」

 ミライは本来なら存在しなかった姉、ミヤビのために影響を受けた人物だ。

 具体的には『胸』。

 元より母性的な女性だったが、今は18歳にしてFカップ。
 すべてミヤビのせいである。

 人は自分に無いものを求める。
 ミヤビは転生が関係しているのか、生まれるときにいったん呼吸が止まったということがあってミライと正反対に身体の線が細く顔立ちもまた細面。
 そしてゆるやかにウェーブを描くミライの髪と違って定規で線を引いたかのようにまっすぐな髪。
 日本の名家で清和源氏の血を引くとも言われるヤシマ家の姫と言われて納得できる、ミライとはまた違った美貌の持ち主だった。

 それと比べて女性的な丸みを帯びたミライは「自分はくせっ毛のちんちくりんのおデブなんじゃ……」と悩み、スレンダーなミヤビをうらやむことになった。
 彼女自身、物腰が大人で優しいミヤビを姉と慕ってあこがれているからなおさら。
 その妹が持つコンプレックスに気づいたミヤビはどうしたか。

「競うな、持ち味をイカせッッ」

 何を思ったか前世の格闘マンガから最強の男のセリフを引用し、ミライを諭したのだった。
 まぁ、この言葉自体は真実をついており、ミライは納得することになったのだが。

 しかし話はそこで終わらない。
 男性脳と女性脳の違いというものがある。
 古来男性は狩猟を営み、女性は村で共同生活を営んでいた。
 ゆえに男性の会話は問題解決のためのもの。
 対して女性には狭い村社会で村八分にならない力、共感力が必要とされた、ということに端を発していると言われる違い。

 相談に対しても、男性は解決策を提示してほしいと願われていると捉え、女性はとりあえず悩みを聞いてほしいと考える。
 だからミライにとってはミヤビに話を聞いてもらい、彼女の想いに共感して分かってもらえた時点で終わった話なのだが。

 前世が男性で、今も男性的な思考をするミヤビはそうは思わない。
 可愛い妹に相談をされたのだから、全身全霊で解決策を導き出さなければならない。
 年長者(姉とは言いたくない)の名に賭けて!

 そしてミヤビは徹底的に調べ上げた。
 胸を育てるための栄養学に運動、美容方法。
 結果を得るのに最も効率のよい技法、手法、プロセス、活動、つまりベストプラクティスの構築。
 それをただ押し付けるのではなく、習慣に落とし込むためのベストなメソッドの追求。

 そう、テム・レイ博士をマッドだと呆れるミヤビだったが、彼女自身、他から見れば立派な理系脳だった。
 しかも彼女は努力の人だったから、どう努力をすれば最大限の結果を出せるかを徹底的に追求できる人物だった。
 その成果が、

「ミライの胸は私が育てた!!」

 と言わんばかりのFカップ。
 しかもくびれているところはキュッとくびれているという反則的なワガママボディである。
 ヤシマの人形姫と呼ばれ近づきがたいオーラをまとったミヤビに比べ、妹のミライは親しみやすい人柄もあって男性からの人気は非常に高い。
 というかヤシマ家へ来る縁談などは必ずミライに行くため、ミヤビは助かっているとも言う。

 ところで……
 なぜパオロ艦長とブライトとの会話にテム・レイ博士の名前が出ないのか。
 それが分かるのはかなり後。
 事実を知ったミヤビは動かない表情の下、内心で絶叫を上げることになるのだが、それを予測できる者は一人も居なかった。



■ライナーノーツ

 すみません、第2話を書いていたらもの凄く長くなってしまいまして。
 あまりにも長いし、書ききるのに時間がかかりそうなため、分割してお届けすることにさせていただきました。
 ご了承ください。

> 降着ポーズはミヤビの前世の記憶ではロボットアニメ『装甲騎兵ボトムズ』登場のスコープドッグなどのアーマードトルーパーに装備されていた機能だ。

 このようなものです。

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 今後の展開の参考にさせていただきますので。
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