しおり…… しおり……
 私の声が、聞こえますね……

 私は、すべてをつかさどる者。
 あなたは、やがて真の勇者として私の前にあらわれることでしょう……

 しかし、その前にこの私におしえてほしいのです。
 あなたがどういう人なのかを……

 さあ、私の質問に正直に答えるのです。
 用意はいいですか?


                      夢


 私は、すべてをつかさどる者。
 今あなたが、どういう人なのかわかったような気がします。


                    夢を見ている


 しおり、あなたはかなり
 おっちょこちょい のようですね。


                    ピキッ!!



Kanon版ドラゴンクエスト3攻略日誌
『プロローグ編』


 それは、栞が16才になる誕生日のことであった。

「おきなさい。おきなさい、わたしのかわいい栞や」

「えぅ〜っ。何だか夢の中で偉そうな人から理不尽にけなされた気がします〜っ」

「おはよう栞。もう朝ですよ」

「お母さん…… おはよう」

「今日はとても大切な日。栞が王さまに旅立ちの許しをいただく日だったでしょ。娘のお前を、この日のため勇敢な男の子のように育てたつもりです。『特に胸』」

「そっ、そんなこと言う人、嫌いです〜っ!!」


 小さな胸を痛めた栞は(小さいは余計です〜っ!)、自分のタンスから力の種を持ち出したり、台所のタルから薬草を持ち出したりするついでに、お爺ちゃんのタンス貯金(5G)をぶん取って心を慰め、そして王様の所に向かった。

 しかし……

「よくぞ来た! 勇敢なるオルテガの息子…… いや娘じゃったか…… しかし男に勝るとも劣らぬその精悍さ。栞はさすがオルテガの子供じゃな。『特に胸』」

「えぅ〜っ!!」


 ぐれる、栞。

「これから魔王と戦う私に、王様が渡すのがたったの50Gですかっ!」

 あと、旅人の服とこんぼう×2、ヒノキの棒もくれたが。

「こんなのじゃ、足りないですっ!!」

 非行に走った栞は、

・アリアハン城1階のタルから毒消し草、小さなメダル、

・アリアハン城2階のタンスからラックの種、

・ルイーダの酒場の外に置いてあったタルから25G、

 を漁って自分のものにした。


 そして、ようやく仲間を求めルイーダの酒場へ。


「遅かったわね。待ちくたびれたわよ栞。『特に胸』」

「お姉ちゃんまでッ!? しかも胸、関係ないしっ!!」


 壊れた栞をひとしきりなだめた後、香里が仲間になった。


名前:かおり
職業:そうりょ
性格:セクシーギャル
性別:おんな
レベル:1

    ちから:   5
  すばやさ: 12
 たいりょく:   6
  かしこさ: 12
 うんのよさ:   4
さいだいHP: 12
さいだいMP: 11


「妹が『おっちょこちょい』で、姉が『セクシーギャル』…… どんな姉妹ですか」

「あら栞、あなた性格判断の結果『おっちょこちょい』だったの? どうせ、また何かやっている最中に目移りしたんでしょ」

「えぅ」

「図星、ね」

「わっ、私のことよりお姉ちゃんですっ! 僧侶なのに『セクシーギャル』って、どんなですかっ! ……てっきり賢さと素早さに優れた『きれもの』辺りだと思っていたのに」

「栞、人には持って生まれた適性があるわ。それを元に長所は伸ばし、短所は致命的な物にならないようにフォローするのが、その人の努力。そして生き方。ここで言う『性格』という物よ」

「どういうことですか?」

「職業によって各能力の伸びは決まっているってこと。『性格』は、それに上乗せして補正を行うに過ぎないわ。例えば『セクシーギャル』は賢さの伸びが『きれもの』より低めだけど僧侶である以上、それが伸びないということではないわけ。まぁ、その辺は追々分かってくると思うわ」


 武器屋に直行し、栞が持っていた銅の剣を残して、全ての装備を売り払う香里。

「旅人の服×2、こんぼう×2 ヒノキの棒、布の服…… これでも少しだけ足りない。薬草を売って何とかね」

 革の鎧(150G)と革の盾(90G)を購入。
 銅の剣を合わせ、アリアハンで購入できる一番の装備をする『香里』。

「さぁ、行くわよ!」

「えっ、えぅ!?」


 街の外に出る二人。

「ちょっ、待ってっ! お姉ちゃんと二人だけ!? しかも私、布の服すら装備してないのにっ!」

「あら、スライムね」

「えぅ〜っ!」

『防御』で何とか耐えようとする栞だったが、いかんせん何も装備していないため、元の守備力が低すぎる。
 ぺちぺちヒットポイントが削られていく。

「お姉ちゃん助けてっ! ホイミ、ホイミっ!」

「栞はまだホイミ覚えてないんだから、唱えても無駄よ」

「そうじゃなくてホイミして下さいっ!」

「……まだ気付かないの、栞」

「何がですかっ!」

「今日は何の日?」

「えっと、私の誕生日? 病気のせいで生きて迎えることはできないって、言われてたけど。……まさかお姉ちゃん!?」

「奇跡は起こらないから奇跡って言うのよ」

「どうしてお姉ちゃん……」

「……あたしに妹なんて居ないわ」


 しおり はしんでしまった


「何とかモンスターからは逃げ切れたわね。栞をカンオケに入れて、これでよしと」

(お姉ちゃ〜ん)

「……空耳かしら」

(空耳なんかじゃありませんっ、私、だてにあゆさん(生き霊少女)と友達やってるわけじゃないんですよっ!)

「そう言う問題じゃないと思うんだけど」

(そんなのどうでもいいですっ! それよりも説明を要求しますっ!)

「仕方がないわね…… 栞、コールドスリープって知ってる?」

(えっと、れいとうすいみんってやつですか?)

「そう。不治の病にかかった人の身体を冷凍保存して、未来の医療技術の進歩に託すってやつ。まぁ、人は金魚とは違うんだから眉唾物のお話なんだけど、この世界で一つだけ、それを本当にできるものがあるの」

(それって……)

「勇者とその仲間達にのみ与えられる品。今、栞の身体を入れてあるカンオケよ」

 倒れた仲間を仮死状態で保存できる上、人一人でも不自由なく運べる軽量化魔法、モンスターからの攻撃を全く受け付けない強化魔法、更には全滅時に自動帰還する魔法まで掛けられた、第一級の魔法の品。
 普段は小さく折りたたんでしまえるし。

「これで栞の身体を保存しながら、世界中を旅して栞の病気の治療法を捜すわけ。仮に行った先にお医者様が居たとして、実際に栞を診てもらえるから便利よ、コレ」

(お姉ちゃん……)

「本当は、あたしが勇者になれれば良かったんだけど、この世界は男尊女卑が激しくて。……あなたのように男の子の格好が似合えば良かったんだけどね」

 そして、香里は言う。

「『特に胸』」

(えっ、えぅ〜っ!!)



Kanon版ドラゴンクエスト3攻略日誌
『香里の僧侶一人旅 プロローグ編』完



■ライナーノーツ

 僧侶一人旅です。
 今後、栞はカンオケに入りっぱなしで、背後霊扱いです。
 栞の勇者に期待した方には済みません(特に胸)
 ちなみに、カンオケ背負った旅人というと、イメージ元はきゆづきまゆこ先生の漫画、『棺担ぎのクロ』だったり。


>革の鎧
 現代でもネット通販で手に入ったりしますが。
Armor Venue (アーマーベニュー) RFBバイキングレザーアーマー


 普段使いするならレザージャケットあたりでしょうね。
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 実際、レーサーが革のつなぎを使っていたりするように、外傷や炎に対し高い防御力があります。
 特に現代の衣類に多い化学繊維を多用したものはちょっとした火の気で穴が開くか全身火だるまになるかですので、炎へのプロテクションとして革のジャケットは有用でしょう。

 変わったところではゲーム、ウォッチドッグスの主人公、エイデン・ピアースの着ていたレザージャケットを本革で再現したものもありますが。
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