【ネタ】機動戦士ボール(ファーストガンダム・記憶逆行)
 第二十五話 サイコミュ高機動試験用ボール


「私はなぜ、ここに居るのでしょう?」

 白く塗られたボールのコクピットの中、自問自答する少女、アヤ・サカキ。
 彼女は今、ソロモン近くの宙域を飛んでいた。
 パノラミック・オプティカル・ディスプレイと呼ばれるドームスクリーンに映し出されている僚機は、シャリア・ブル大尉のモビルアーマー、ブラウ・ブロ。
 そして、ララァ・スン少尉の乗るエルメスもある。
 いずれもサイコミュ装置を搭載したニュータイプ専用モビルアーマーである。
 ちなみに、シャリア・ブル大尉は木星帰りのニュータイプ。
 ララァ・スン少尉は地球で発見されたニュータイプで、今はシャア・アズナブル大佐が保護者をしている。
 その、シャアの乗る高機動型ボールも、視界の隅に飛んでいた。

「何故と言われましても、サイコミュ高機動試験用ボールのデータ採取の為ですよ」

 ブラウ・ブロに同乗している技術士官、シムス・アル・バハロフ中尉が答える。

「モビルアーマーに組み込まれていたサイコミュシステムを、モビルスーツに組み込むことを目指してサイコミュ試験用ザクというものが作られていたのですが、そのザクでは、モビルアーマーのような高速、高機動時のサイコミュ運用試験ができなかったのです。このため急遽、テストベッドとして、シャア大佐も乗られている高機動型ボールに白羽の矢が当たった訳です」
「それで、天頂部に手が付いている訳ですか」
「はい、それが有線サイコミュのビーム砲になっています。それへのエネルギー供給用に出力千二百キロワットの核融合炉を搭載」
「融合炉! 出力も三倍じゃないですか!」
「そう言えば土星エンジンのお陰で推力も三倍になっているのでしたね」

 機体下部に取り付けられた、シャアの高機動型ボールと共通のエンジンノズルが土星エンジンだ。
 ツィマッド社のドムのため開発された技術である。

「でも、腕が一本あるだけでは、オールレンジ攻撃にならないのでは?」
「その為、本体に90ミリバルカン砲が追加されています」

 確認したら、その通りだった。

「もう、ここまで来たら、ボールじゃないですね。ちなみに機体の左右に付いている角は?」
「それは、私も謎です。クルスト・モーゼス博士の作成した装置が内蔵されているのです」
「クルスト博士……」

 もう、何が何やら。

「そもそも、サイコミュ装置ってこんな小型の機体に搭載できるものなんですか?」
「何を言っているのですか、サイコミュ装置の小型化に成功したのは、アヤお嬢様の協力した基礎研究のお陰じゃないですか。アヤお嬢様と言う人材が発見されなければ、ニュータイプ研究は五年は遅れていたと言われているのですよ」
「はぁ」

 結局、この機体を成り立たせているのは自分の存在だと言う事に、溜め息をつくアヤ。

「この機体、赤く塗ります。赤く塗って、ア・バオア・クーに送ります」

 決意する。

「あー、アヤ君。それは私に乗れと言っているのか?」

 話を横で聞いていたのだろう、シャアから通信が入る。

「ええ、是非とも」

 にっこりと微笑む令嬢に、シャアは冷や汗を流す。

「私はパイロットとしての戦闘能力が高くても、ニュータイプとしての資質自体にはやや乏しいと言われているのだが」
「大佐なら、大丈夫です」

 アヤの笑みが増す。
 シャアはあきらめて頭を振った。

「ララァ、私を導いてくれ。ララァ」
「お手伝いします、お手伝いします、大佐」

 この後、ニュータイプ部隊は、モビルスーツを含む連邦軍パトロール艦隊に接敵。

「五連メガ粒子砲、斉射!」

 これを撃破する。
 中でも、アヤ・サカキの搭乗するサイコミュ高機動試験用ボールは小型の機体にも関わらず目覚ましい戦果を上げたため、この機体を更に研究する事が決定。
 逆に、フィードバック先である、MS−16Xジオングの開発は延期される事となった。


■ライナーノーツ

「サイコミュ高機動試験用ボールは、トニーたけざきのガンダム漫画の「シャア専用ボール」より。
 プラモデルで再現する場合はボールとジオングの手のミキシングで再現可能。
「ランバラル専用ボール」と違い、ジオングの手は大きいのでボールとジオングは同スケールでもバランスは取れるが、ベースとなるボールはカトキVerでこれは1/100のMGでしか出ていない。



 いくら何でもネタでMGジオングを潰せないという人は1/144で作るべき。
 その場合は、カトキVerがベースのK型とHGUCジオングをミキシングすると良い。


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