自転車乗りの防寒対策
さて、冬場の防寒ですが、何よりもしっかりした専用品が頼りになる世界です(当然、専用品なのでお値段は張りますが…… なぁに、バイク用品に比べれば安いもの)
もこもこのダウンジャケットより、専用の薄手でスマートなウィンタージャケットの方がはるかに温かいということが当たり前に起こります。
それは何故かというと、自転車の乗車姿勢と風にあります。
値段の張る専用品を避けてアウトドア用品等の流用というのがありますが、腕を前に突き出してもらえば分かるように2輪に乗るには乗車姿勢の関係でそで丈が足りない場合が多いのです。
そで丈に合わせてサイズを選ぶと、今度はどうしても胴回りがぶかぶかになって風をはらみやすくなります。上体が起きているストライダなら特に。
このぶかぶかというものが曲者で、風ではためく度に中の空気が出入りしますので冷える冷える。
結果として、身体にフィットした専用品の方が薄手でもはるかに温かいということになります。
[パールイズミ] サイクルウェア ウィンドブレーク ジャケット メンズ ブラック
この辺クラスは着たいですね。
可能ならスーツや制服の上着はロッカーに置いておいて、着ておきたい。
なお、防寒以外にも冬は風が強いため、こういうタイトなジャケットを着るだけで自転車の性能が上がったようにも感じられ楽に走行ができます。
お金が無いなら、アウターはレインウェアで間に合わせるのも手です。
その場合も、身体にフィットした(雨具ですから多少余裕はあるにしても)専用品が好ましいです。
できればゴアテックス、駄目でも防水透湿素材のものにしておきたい所です。
これぐらいは何とか?
いや、ゴアテックスのものはもっとするし、雨具と共用できるので何とか買いたい所。
駄目なら手持ちのレインウェアでもいいです。
汗をかかない(それほど距離が無い)前提なら安物の透湿素材でないナイロンに防水加工をしたものでもベンチレーター(通気口)頼みで行けるかも知れません。
それが嫌なら、ユニクロ、しまむら、ホームセンター(北海道から東北、関東に展開しているホーマックが一押し。存在しない地方なら業務提携しているカーマかダイキで)、労働者の味方ワークマンなどで低価格帯のアウターを探すことになりますが、ここで選ぶのにも色々と押さえて置くべきポイントがあります。
まず常に風に当たるのですから、風を通さないことが大前提です。
素材はもちろん、造りもやはり重要で、前の合わせはファスナーとフラップの2重のシールが基本です。
剥き出しのファスナーは意外と風を通しますからね。
ポケットなんかも同様です。
次にそで丈が自転車に乗った姿勢で十分にあって、そで口が守られていること。
ゴムによる絞りをマジックテープで調節できるものが、風を通さず締め付け過ぎずで具合が良いです。
リブはよほどしっかりした製品でないと、風を通してしまうので向きません。
あとは首筋が守られていること。
えりが高く、風が入らないもの。
内張がボアだったりすると暖かいです。
まぁ、ネックウォーマーなどである程度は補うことができるのでそで口ほど重要ではありませんが。
そして、以上をクリアしつつもできるだけ細身のタイトなデザインでだぶつかないものを。
この場合、大は小を兼ねません。
前述の通り、余計なだぶつきは内部の空気が出入りすることを意味し、冷気の侵入を許しますから。
これだけこだわっても、専用品には勝てないのが現実ですが……
なお、防寒は重ね着(レイヤード)が基本です。
一枚羽織るだけで温かい魔法のようなアウターはありません。
……嘘です。バイク用の冬用ジャケットがそうでした。
こんなの。
ただし、プロテクターを抜いても重いしかさばるし(とても立体的なので畳んで小さくすることなどできません)、バイクは身体を動かさない分、あまり汗をかかないのが前提なので熱くなるほど漕ぐには向かないと思います。
バイク用はベンチレーター(通気口)が付いているのである程度までならこれで対応できますが。
まぁ、こんな例外は置いておいてレイヤードのお話を。
まず一番下になる肌着は、肌にぴったりとし、なおかつ締め付けないものが良いです。
あと素材は綿などの自然素材は一見暖かそうですが、乾きにくい為、汗をかくと冷えてしまいます。
いや、汗かかないから大丈夫と思っている方、実は冬は厚着をするため意外と蒸れるんです。
気温が低い分、結露もしやすいことですし。
ですから速乾性の素材がいいのです。
予算が許せば登山用が高性能です。
登山用ではこれでも安価な方。
寒い時期の長距離サイクリングや雨の中の走行など、極限状態ではそのありがたみが露骨に分かります。
そこまで求めないのであれば、せめて化学繊維のものを選びます。
混紡も、綿30%ぐらいまでならいいです。
ユニクロで有名なヒートテックなんかも近頃は綿から化学繊維に切り替わったというので、綿を含まないことを確かめて買うなら選択肢としてはありでしょうか。
もっとも、同じ化学繊維でもレーヨンは吸水性があるため、これを含むヒートテックは乾きにくく不向きという話も聞きますが。
まぁ、安価なだけに登山用ほどの性能は持っていないということでしょう。
その上に、ミドル。
ウールのタートルネックやフリースなど、空気の層を作るものがいいです。
やっぱり締め付けない程度にタイトなのが理想。
その上から風を遮断するアウターとなります。
後は末端。
肌着の素材の話にも通じますが、足、つまさきが冷たいと言う方の大半が濡れに弱い綿の靴下だったりします。
寒いので汗はかかないだろうと思っている方、寒いからには身体は熱を作るために激しく代謝を行います。
その代謝を行うために発汗するんですが、夏場は全身の汗腺から汗が吹き出すのに対し、冬場は特定の汗腺、足の裏、手のひらなどにかくのです。
だから手や足の指先が汗で冷えて痛くなるんですね。
ですから靴下を濡れに強いウールにしたりすると効果的です。
一方、手の方はと言うと露骨に冷えで痛くなることから、誰でもグローブを着けます。
ここで、いくら温かそうだからと言ってアルペンスキー用を使ったりするとブレーキ操作等に影響しますので、流用するならバイク用ぐらいにしておきましょう。
ただ、バイク用は高いので、コスパで言うなら結局自転車用が良かったりします。
[パールイズミ] 8200 スーパーサーマ フリース グローブ メンズ
こちらも汗による濡れが一番厄介なので、防水透湿素材のものが多少高くても断然有利です。
発汗による発熱を謳った製品もありますが、あまり信じないように。
濡れれば冷たいのが当たり前です。
あと、使用後は乾かした方がいいです。
例えば、通勤通学後は暖房の効いた部屋の風通しの良い所に置いておくとか、サイクリング中に食事や喫茶店に寄ったらバッグやポケットに詰め込んで置くのではなく、テーブルの上に出して置くとか。
ところでよく同じグローブを使っていても「温かい」と言う人と、「温かいと聞いて買った高いグローブなのに、ちっとも温かくない。インチキだ」と言う人が居ます。
個人差がある程度あるのは仕方ないにしても、これはどういうことでしょうか?
答えは、体幹が冷え込んでいるかどうかです。
身体が冷えると、脳が重要器官の入っている胴体を守るために末端への血液の流れを絞るよう調節します。
その結果、手足が冷え込むわけです。
いいグローブをはめているはずなのに指先が痛くなるほど冷え込む方は、身体を冷やした結果、そうなっているのです。
どんなに高性能なグローブをはめていても、身体を冷やしては無駄。
手足の冷えを防ぐには、身体も温めなくてはいけないということです。
ここで重要になって来るのは、首筋だったりします。
上記の血液の調整は、首筋の冷えがスイッチになっています。
ですから身体の冷えは首筋の防寒、例えばマフラー一つで大きく変わります。
寒くて眠れない時は、首筋にタオルを巻くと良いと言う話を聞いたことがありませんか?
他にも、手首、足首など、首と名前が付く部分は要チェックです。
なお、マフラーは巻き込み等の事故防止の為、上着の中に入れて置くべきです。
その点、ネックウォーマーの方が手軽でいいですね。
[パールイズミ] 485 ネック ウォーマ ブラック 日本 F (FREE サイズ)
その他に、耳が冷たい、千切れるほど痛いという方にはイヤーウォーマーが必要ですが、ヘルメット、それでなくともキャップやアイウェア(サングラス)、眼鏡等の着用を考えると、そこまで配慮された専用品がお勧めです。
特に高価なものでもありませんし、汎用品で良いだろうと色々試したものの使い勝手が悪くて駄目で、結果的に最初から専用品を買っていた方が安く上がったという話も聞きます。
(汎用品が駄目で「こんなこといいな、できたらいいな」と思っていたことが実は専用品を使ってみたら全部実現していた、というのは良くあるパターンです)
耳が冷たくて困っている方にはお勧めです。
[パールイズミ] 82 イアー ウォーマ ブラック 日本 F (FREE サイズ)
こちらは後ろ側がマジックテープになっていてサイズ調整や脱着がしやすくなっています。
薄くかさばらないため、ヘルメットを被ってもきつくなりにくいです。眼鏡やアイウェアにも干渉せず。
また、自転車を漕ぐ上で、暑くなり過ぎないのも専用品ならではですね。
着脱が簡単でかさばらないことから仮に暑くなってもさっと外してポケットに突っこめばいいですし。
薄いので音も良く聞こえます。
自転車は五感を駆使して乗るものですからこの辺は結構重要。
一方で、ホールド、防風はしっかりしているため暖かです。
素材もポーラテック社のマイクロフリースと乾きやすいものが使われているので湿りにも強いですしね。
また、ここまでやってもどうにも熱量が足りないという方には、秘密兵器ハクキンカイロというのがあります。
ハクキンカイロ ハクキンウォーマー スタンダード 1個入 【保温約24時間】
使い捨てカイロの13倍の熱量を誇り、しかもベンジン(ジッポーなどのオイルライターのオイルでも使用可)を入れて何度でも使えるのでお財布にも優しいしエコ。
安心の日本製なので蓋などの工作精度には目を見張るものがあります。
なお、火口をライターやマッチであぶって使用するのでベンジンを燃焼させて熱を発生させていると誤解されがちですが、実際は化学反応で熱を出している(火口の加熱は反応のきっかけづくり)ので危険はありません。
スタイリッシュじゃなくて嫌、という方にはジッポーのブランドでも出ています。
ZIPPO(ジッポー) ハンディウォーマー&オイルセット ZHW-15
専用のカイロベルトを使って腹に当て、内臓を温めることによって末端にまで血流を促進し、身体全体を暖めます。
また寒い時期、腰が心配という方は腰に当てるのもありです。
カイロベルトマジック
スタイルを気にするなら、こんなウェストウォーマーもあります。
お腹のポケットにカイロを入れて使います。
[パールイズミ] 481 ウエスト ウォーマ メンズ 1 ブラック 日本 F (FREE サイズ)
メンテナンスも、換火口を消耗したら換えてやるぐらいで半永久的に使用が可能です。
ハクキンカイロ 換火口 1個入
以上、ご参考になれば幸いです。
それではみなさん、暖かくして寒い冬を乗り切りましょう。
次によく読まれている記事
タイヤ交換で軽量化&性能アップ
自転車でキャンプツーリング ゆるキャンとバイクパッキング
ストライダとは
トップページへ戻る